韓国の銀行、非利子利益の創出で苦戦
今年上半期、韓国では銀行の非利子利益が一斉に減少した。
利子利益への依存度が高い伝統的な収益構造から脱却するために、短期成果に執着した戦略が落とし穴となったとの指摘が出ている。
上半期、KB国民は8割減
KB国民・新韓・ウリィ・ハナ・NH農協の国内主要5行は、新型コロナの長期化による融資需要の急増に金利引き上げ基調が重なり、利子利益が急増。過去最大の実績を収めたが、非利子利益部門の成績は惨憺たるものだった。
KB国民銀行の場合、今年上半期に銀行圏で最も多い1兆7264億ウォンの純利益を上げたが、非利子利益は前年同期(4187億ウォン)比81.6%も減った770億ウォンを稼ぐにとどまった。
善戦したと評価される新韓銀行とウリィ銀行の非利子利益も同じ期間、それぞれ12.8%(3798億ウォン→3313億ウォン)、7.7%(5220億ウォン→4820億ウォン)減少した。
銀行の非利子利益が低調な原因として、ウクライナ戦争と米国の緊縮政策の加速化などによる内外の不確実性拡大で、株式市場が動揺し、有価証券の評価利益が減った影響が挙げられる。
さらに、私募ファンド問題の余震で、非利子部門の大きな軸である手数料利益の不振が続いたことも響いた。
銀行の手数料利益は、ファンド販売と信託、バンカシュランス、クレジットカード業務代行、外貨手数料などで構成されている。資本調達の負担が大きくなく、国際決済銀行(BIS)の自己資本比率規制が強化されている状況で、危険資産を拡大せずに収益創出が可能であるという点で重要性が大きくなっている。
2019年の大規模な海外派生結合商品(DLF)の償還中断を皮切りに、ライム資産運用やオプティマス資産運用など相次ぎ発生した私募ファンド不祥事は、投資家のファンド商品忌避と金融当局の高強度懲戒を招いた。これが信託など高難度商品販売の縮小につながり、長期的な手数料利益の減少に行き着いたと分析されている。
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ある金融圏関係者は「国内銀行の収益構造は国際的なモデルに比べて依然として不均衡だ」とし、「これを解消するための銀行の短期成果中心戦略が私募ファンド不祥事などの副作用を生み、むしろ実績をさらに落とす結果を生んだ」と指摘した。
非銀行会社と連携強化
続けて「手数料部門の復興のためには、手数料の透明性確保や先進化構造づくりなど、営業対象である消費者を保護するシステム強化に積極的な動きを見せなければならないだろう」とし、「金融グループレベルで非利子利益さえ銀行に依存するポートフォリオを改善し、非銀行子会社を通じた部外取引の成長を図るのに力量を集中する必要がある」と説明した。
銀行は、同一グループの非銀行会社とび協力体系の構築に積極的な乗り出している。
KB国民銀行の場合、7月末にモバイルインタフェース(アプリ)の「KBスターバンキング」を改編し、7つの子会社の会員登録機能を搭載した。例えば、KBスターバンキングからKB証券口座を開設することができるようになったわけだ。
また新韓金融は、子会社間のシナジー強化のため、グループ内のアジア信託の社名を「新韓資産信託」に、BNPPカーディフ損害保険の社名は「新韓EZ損害保険」に変えた。
金融当局も、銀行の新しい非利子収益源の確保を支援するため、安全性だけを考慮して保留的意見を提示するより、柔軟性を発揮して積極的に支援に出る方針を立てた。
金融委員会は先月20日、金産分離(金融と産業資本結合を防ぐこと)を一部緩和するなど、金融規制革新案を出した。銀行が本業以外にも仮想資産、不動産、宅配プラットフォームなど様々な事業ができるように道を開く内容が骨子だ。
銀行圏のある関係者は「利子利益に重点を置いた構造は成長性の制約要因になりかねない。非利子部門の収益性多角化の努力が必要だという指摘が出る理由だ」とし、「金融当局の革新案で金融規制が緩和されれば、非金融領域に利益構造スペクトルを広げることに注力する計画」だと話した。
アン・ソユン記者