韓国の銀行、政府の「元利返済猶予」4回目の延長に困惑
韓国の銀行が、二転三転する「新型コロナウイルス金融支援策」の終了(延長)方針に、困惑している。
各銀行が25日までに明らかにした情報によると、金融当局は新型コロナウイルスの被害を受けた小規模事業者・自営業者を対象とした借入の満期延長・元利返済猶予措置の4回目の再延長を進める方針だ。
大統領選控え政界「延長を」
金融委員会は当初、借主の返済負担の増大などを考慮し、同措置を来月いっぱいで終了する立場だった。しかし大統領選挙を控え、政界で「措置を維持すべきだ」との声が高まっていることを受け、再度延長する方向に舵を切ったものと見られる。
関連記事:今年3月、韓国金融システムを襲う衝撃…政府は備えを
金融委は、与野党の合意によってまとめられた補正予算の付帯意見の趣旨と防疫状況などを総合的に考慮し、早期に詳細案を発表する計画だ。
同措置の追加延長が決まり、銀行圏では健全性悪化への懸念が高まっている。
KB国民・新韓・ハナ・ウリィ・農協の5大銀行の新型コロナウイルス金融支援の実績資料によると、金融支援が始まってから、今年1月末まで様々な形で満期・返済が延長された融資の元利総額は139兆4494億ウォンに達する。
健全性悪化を懸念
2年近く累積した潜在不健全性が、金融支援終了後に一気に表面化すれば、銀行の健全性への打撃は避けられないというのが業界の一致した見方だ。
金融当局は対応策として、利子の支払期間や据え置き期間を延長するなど、軟着陸支援プログラムを練っている。
しかし、アメリカの緩和縮小やウクライナ情勢を受け、グローバル金融市場の不確実性が拡大し、韓国も基準金利の引き上げ基調がはっきりしている現状の中、同措置の延長はさらに大きな金融不健全性を招きかねないという指摘が出ている。
これに対し金融当局は連日、「灰色のサイ(予想可能だが看過し易い危険)」に言及し、貸倒引当金の積み増しを要求しているが、株主利益の還元を考慮すべき銀行は難色を示している。
引当金積み増しが負担
主要金融持株会社は、低評価の株価を引き上げるため、株主に配当増大や中間配当実施など、株主価値の向上を何度も約束している。今月初めには、2021年度の年間配当性向を新型コロナウイルス以前の水準である26%台に引き上げ、一部金融持株の株価は52週の高値を更新した。
関連記事:過去最高益の韓国金融グループ、配当・退職金の大盤振る舞い
金融当局の注文どおり貸倒引当金を増やせば、その分だけ純利益が減り、配当原資に影響を及ぼしかねない。
貸倒引当金の追加の積立は、外部流出ではなく内部留保であり、ファンダメンタルイシューとは見なせないという一部の指摘もある。しかし、ほとんどの銀行株に対する投資心理には、否定的要素になるだろうという見方が出ている。
市中銀行の関係者は「株価浮揚のため、積極的に株主還元政策を展開している中、自営業者への融資の満期延長、貸倒引当金の積み増し問題などが銀行株の悪材料として再び浮上している」と述べた。
続けて、「金融機関はすでに新型コロナウイルス金融支援と関連し、最大限保守的な基準でリスクを評価して、引当金を十分に積んでおいた」としながら、「大規模な不健全性に対する対応余力を備えるべきという当局の意図には共感するが、過度な圧迫がやや負担になるのは事実だ」と付け加えた。
アン・ソユン記者