韓国の銀行、あふれる「普通預金」の運用に苦慮
韓国の銀行が、溢れる短期預金資金の運用に苦慮している。市中流動性が膨れ上がったマクロ経済環境のせいで、適当な投資先が見つからないためだ。いつ大規模に移動するか分からない短期預金資金が滞留すると、預貸率のコントロールにおいても変数として作用するのが問題だ。
「流動性」「不確実性」増で大量流入
韓国銀行(中央銀行)の統計システムによると、銀行圏の貯蓄性預金(定期預・積金)は1月の平均残高が1603兆6509億ウォンと集計された。
2019年1月の1186兆4206億ウォンから2020年1月には1281兆5932億ウォン、2021年1月は1381兆7217億ウォン、2022年1月は1497兆762億ウォンと、増加傾向が著しい。
企業が当座資金を預置する普通預金の平均残高も1月に322兆ウォンを超えた。昨年1月(352兆260億ウォン)より30兆ウォンほど減ったが、2019年1月(193兆2734億ウォン)と比べると4年で67%も増えた。
銀行圏の資金担当者らは、△不動産景気の悪化△貯蓄銀行への不安感△株式市場の待機資金の増加△大企業を中心とした流動性増加――などが複合的に作用し、受信残高が急増したと見ている。
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問題は、適当な運用先が見当たらないことだ。
いつ引き出されるかわからない短期預金資金は通常、買戻し条件付債券(RP)、譲渡性預金証書(CD)、マネーマーケットファンド(MMF)など短期金融商品で運用する。
ところが最近は、景気後退や業績悪化に対する懸念から、中長期の投資判断を先送りしている一般企業や、株式や債券への投資を躊躇している年金基金の「バルクマネー」が銀行に流れこんでいる。こうした需要過多が、もともと低い短期預金の金利を連日、引き下げている。
国内のMMF規模は、去る2月末に211兆ウォンを記録し、2関連統計の作成が始まった2006年以来、初めて200兆ウォンを超えた。しかし、このうち設定額10億ウォン以上のMMFの平均収益率は今年に入り0.83%と低迷し、ここ1年間で見ても2.76%にとどまっている。
91日満期のCD利回りも、昨年11月の4%割れから引き続き下落傾向にある。
低コストで預貸マージンの拡大に役立ってきた短期性資金だが、今ではすっかり持て余されている。
銀行圏のある関係者は「普通預金のような短期預金資金は、融資はもちろん、新事業など攻撃的な資金運用にまわすのは難しい。規模は魅力的でもやすやすと触れない資産だ」と説明した。
続けて「銀行は健全性管理のために預貸率を一定水準で管理しなければならないのに、急に増えた短期預金資金はそれだけ預貸率管理にとって変数として作用するリスクも大きい」とし、「特に最近の景気不確実性の増大で、個人・企業の信用リスクが高まり、融資資産を拡大しにくい状況だ」と付け加えた。
一方、市中銀行は短期受信資金の流入ペースを抑えるために、預金満期を基本の1年から3〜6ヶ月程度に短縮して金利も引き下げる傾向にある。昨年11月に年5%に迫った定期預金金利は、現在3%台にまで落ちている。
アン・ソユン記者