韓国の証券会社「不良資産」3兆ウォン突破…私募社債の延滞増加

韓国で、証券会社の不良資産を意味する固定以下与信の規模が初めて3兆ウォンを超えた。金利上昇と不動産市場の萎縮で、プロジェクトファイナンス(PF)の財務劣化による余波だと解釈される。

不動産PFの財務劣化で

金融統計情報システムによると、この3月末時点で、国内48社の固定以下与信の総額は3兆398億ウォンで、一四半期で3673億ウォンほど増加した。過去2019年に1兆271億ウォンの水準だったことを踏まえると、わずか4年で不良資産が3倍近く増えたわけだ。

証券会社が保有する資産は、債務返済能力を考慮して△正常△要注意△固定△回収疑問△推定損失などの5段階に分けられる。この中で、固定、回収疑問、推定損失資産が固定以下与信に分類される。固定と回収疑問は延滞期間が3カ月以上の債権で、債務返済能力が低下したことを意味する。

不良資産の内訳を見ると、特に私募社債部門が増加傾向を牽引した。先立って証券会社は不動産PF流動化市場で最も危険度の高い信用供与方式である私募社債の引受確約方式を活用したが、私募社債の不良資産が2908億ウォンほど増加した。

私募社債の引受・買入確約は、流動化証券などに対する投資需要が急減したり、分譲不振など事業性が懸念される場合にのみ活用されてきた。しかし、新型コロナの事態の後、金融不安が広がり、不動産債務保証に対する総量規制が施行されると、証券会社も態度を変えた。

会社別では、今年のNH投資証券の不良私募社債の規模が一番大きく増えた。昨年末、NH証券の私募社債の固定以下与信は31億ウォン水準だったが、今年3月末に1372億ウォンで1341億ウォンも急増した。他にもメリッツ証券は720億ウォンほど増加し、サムスン証券とハナ証券もそれぞれ589億ウォン、410億ウォン増えた。

ある証券会社の関係者は「固定以下与信の資産金額の項目で、一般的に特殊目的法人(SPC)が発行した資産流動化融資(ABL)を引受する場合、私募社債として記入する」とし、「つまり私募社債の引受を通じて借主に不動産融資を行う形になるが、不動産市場の景気悪化の影響を受けたものと見られる」と説明した。

不動産PF発の資産健全性が長期間にわたって悪化している状況は、これがより大きな金融リスクの導火線になる可能性も懸念される。

また、他の証券会社の関係者は「不動産PFを中心に私募社債の延滞が増え、不良資産が増える懸念も長期化している」とし、「しかし、証券会社の健全性指標としてもっと重要に捉えるべきなのは固定以下与信の比率だ」と述べた。

実際の総資産の中で、不良資産が占める割合を表す固定以下比率は下落している。昨年末に2.86%と、3%に迫った固定以下与信比率は、今年0.73%ポイント下落した2.13%と分かった。固定以下与信の総額が持続的に大きくなる中でも、より速いスピードで証券会社の総資産規模が成長したからだ。

一方、証券業界の「ビッグ5」の固定以下与信比率の変動推移も微細に相違が表れた。ビッグ5の固定以下与信比率は、全て総資産の3%以下に収まり安定的に維持された。未来アセット証券と韓国投資証券、KB証券の固定以下資産比率は前期比で小幅下落したのに対し、NH投資証券、サムスン証券の割合はそれぞれ0.53%ポイント、0.31%ポイント上昇した。

ユ・ジョンファ記者