「過度な成果給は許さない」韓国金融当局、モラルハザードけん制

韓国の李卜鉉(イ・ボクヒョン)金融監督院長は5日、「不動産プロジェクトファイナンシング(PF)問題と関連し、貯蓄銀行の引当金追加積立計画を点検する」との業務計画を発表した。

金融監督院はまず、償還猶予や満期延長を繰り返すなど、事業性が格段に劣後する事業所について、昨年末の決算時には予想損失が100%に達していたと認識する一方、個別の貯蓄銀行などに今月8日までに追加積立計画を提出するよう措置した。

特に引当金の積立実態に対する決算点検を通じて、余力があるのに引当金を積まずに配当・成果給で流出させることがないように厳しく指導する計画だ。

無分別な満期延長や償還猶予などで、損失認識が遅れないように債権者団協定の改正も推進する。

すでに不良債権化が深刻な事業所に対しては損失を十分に反映して、競・公売などの可能性を踏まえて条件を整えるよう指示。その他の事業性が懸念される事業所についても、事業性評価基準をより厳しいものとして、客観的な評価を誘導する方針だ。

また、金融監督院は外部専門家が含まれた事業性評価改善タスクフォース(TF)を稼働中で、評価にかかわる詳細指標などの改編方案を早急に確定する予定だ。

2四半期のうち、改編された基準によって事業所を再分類して引当金を追加積立するようにする一方、下半期中に事業所別の競・公売などによる不良債権整理または事業再構造化計画などを提出して履行状況を点検する。

金融監督院はこれを通じて、年内に不良事業所の整理及び不良懸念事業所の構造調整がある程度、仕上がると期待する。

競・公売など不良事業所の整理支援装置も用意する。

金融会社・建設業界・信託会社などで協議体を構成し、競・公売障害要因に対する制度改善を推進し、競・公売を通じて市場に売り出された物件を円滑に消化するため、金融圏ファンドの追加造成なども考慮する計画だ。

合わせて、金融監督院は最近、株式市場での違法な空売り問題に関して、追加摘発されたグローバル投資銀行(IB)2社を含む10社余りの調査を迅速に行い、調査が完了した件から順次制裁の手続きを進める予定だ。

現在、空売り違反で摘発されたグローバルIBのアジア太平洋地域本部の大部分が香港に所在しており、金融監督院は実効性のある調査のために香港の金融監督当局と協調案を協議中だ。

特に、調査過程で確認された空売りプロセスや再発防止対策などを総合して、今後の空売り制度の改善に積極的に活用する計画だ。

このほか、金融監督院は保険詐欺、香港株価連系証券(ELS)などについて、不完全販売の有無の確認や、適当な被害救済のための賠償基準を設けるなど、迅速に対応すると述べた。

李院長は「金融会社は目先の利益だけにとらわれる短期実績主義を警戒しなければならない」とし、「リスクを考慮していないPF集中投資、ELS不完全販売による過度な成果給・手数料受取などを決して許さない」と強調した。

イ・ヨンギョン記者