韓国ノンバンク、不動産PFに注力…不健全化のリスクに懸念

韓国の主要キャピタル(ノンバンク)が収益の多角化に向け、不動産PF(Project Financing)に力を入れている。ただ、短期金融に依存する不動産PFの特性上、景気変動性に影響され易いなど、不健全性のリスクが大きく、徹底したリスク管理能力が求められている。

韓国5大キャピタル(現代、KB、新韓、IBK、BNK)の昨年第3四半期の企業向け貸出金融資産の合計額は19兆3000億ウォンと、前年末(15兆4000億ウォン)比25.3%増加した。

新たな収益源として選択

各社は、今まで力を入れて来た自動車ローン市場の競争が激化し、金融当局の家計向け融資規制で営業が制限されると、新たな収益源として企業向け金融を視野に入れた。

企業金融の中でも、不動産PF融資資産の増加傾向が際立っている。

同期間、新韓キャピタルの不動産PF融資資産は、8300億ウォンから1兆2600億ウォンへと52%程度が増加した。IBKとBNKの両社も、それぞれ36%、25%増加した。

現代キャピタルの場合、昨年第3四半期末、企業金融資産の8600億ウォンのうち、不動産PF、不動産担保融資などが94%(8100億ウォン)を占めた。前年の85%(5000億ウォン)と比べ取扱シェアと資産額がいずれも増加した。

不動産PFは通常、短期金融に属し、景気変動性から極めて影響を受け易い。長期投資が確保されていない状況で、収益は今後予定されている不動産物件の分譲の成否にかかっているからだ。その結果、不動産景気の低迷で売れ残りが増えるなど、売上計画に問題が生じた場合、不健全化への恐れは急激に高まる。

2011年の釜山貯蓄銀行事態も、急増した不動産PF融資資産がグローバル金融危機の影響で不良債権化したケースだ。

貯蓄銀行よりリスク大

ノンバンクの場合、与信専門金融会社という特性上、貯蓄銀行よりリスクはさらに大きくなりかねないという懸念も提起されている。

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祥明大学校のソ・ジヨン経営学部教授は「ノンバンクは与信専門金融会社であるため、資金調達費用が大きく、相対的に信用度が低い借主がいる」としながら、「外部からの衝撃が発生した際に、自主的な対応能力が貯蓄銀行より落ちる可能性が高いという問題がある」と述べた。

続けて、「自動車金融に特化していたノンバンクがリスクが少ない自動車資産を減らし、不動産PF融資を増やした。その分だけ不健全性リスクが高まったとも言える」と付け加えた。

そして、相場の上昇が止まった不動産市場の傾向も、不動産PFの資産の不健全性につながる可能性がある。

KB金融持株経営研究所によると、全国の住宅売買価格は昨年9月以降、上昇幅が鈍化し始め、昨年12月には年中最低の上昇率(0.5%)を記録した。住宅売買の取引量も3カ月連続減少し、売買や先行指数ともに年中最低値となった。

延世大学ソン・テユンの経済学部教授は「ここ数年の間、急速に成長した不動産市場ではPF融資などの営業が活動だった。ただし、金利の引上期に入っているため、不動産市場は委縮しかねない」としながら、「急激に増えた不動産PF融資に対する危険要素が相当なレベルに達している可能性がある。これに対する金融当局の管理監督が強化される必要がある」と説明した。

一方、あるノンバンクの関係者は「不動産PFの資産が増えたのは事実だが、先制的に営業を拡大することより、需要層が増加して取扱金額が増えた影響が大きい。また、取扱額も総資産比2~3%で憂慮されるレベルではない」と話した。

チョン・テヒョン記者