韓国政府、私募ファンドの運用規制を強化

韓国政府が、私募ファンド運用に関わる規制を強化した。ライム資産運用やオプティマス資産運用など悪質な私募ファンドによる金融事件の再発を防止し、投資家を保護するため、私募ファンドの販売会社は商品説明書を事前に検証した上で、投資家に提供することを義務化した。

巨額金融事件の教訓踏まえ

韓国では2019年以降、国内最大のヘッジファンドだったライム社が、1兆6000ウォン規模のファンドの償還を停止。後にポンジ・スキーム、収益率の操作、不完全販売など不法行為が明らかになった。またオプティマス資産運用は公共機関の売上債券など安全資産に投資するとうたいながら、資金を流用するなどして数千億ウォンの被害が出た。

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こうした教訓から、今月21日、私募ファンドの投資家保護体制の改編のための資本市場法および下位法規の新規則が施行された。

資本市場法は今年4月、ライムやオプティマスなど私募ファンド事態の再発を防止し、私募ファンドが投資家保護とリスク資本の供給という本来の役割に集中するよう改正された。

商品説明書を事前検証

改正された同法の下位法規によると、今後、私募ファンド販売会社は一般投資家に対して私募ファンドの勧誘・販売を行う場合、商品説明書を事前検証した後、投資家に交付しなければならない。

金融当局は、該当説明書が集合投資規約に合致しているか、投資家が理解できるように記載されているかなど、検証の細部内容を規定した。

また、金融当局は投資判断に必要な事項が全て核心商品説明書に反映されるように必須記載事項を指定した。これにはファンド・運用会社の名称、投資目的・戦略、投資対象資産、運用リスク、償還関連事項などが該当する。

さらに金融当局は、販売会社が運用会社の資産運用報告書を土台に、私募ファンドが核心商品説明書に合わせて運営されているかどうかも確認するようにした。

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受託会社は、運用指示の法令・規約・説明書の合致を監視し、管理するファンド資産について毎四半期の資産対照を行い、受託会社のファンド資産の内訳と運用会社のファンド財産の明細が一致しているかどうかを確認しなければならない。

機関専用は自律性拡大

機関投資家専用の私募ファンドは、ネガティブ方式で規制を受け、自律性が拡大される。ただし、改正法令の有限責任社員の要件は満たさなければならない。

機関投資家専用の私募ファンドの有限責任社員の範囲は、大きく二つに分けられる。

まず、専門性・リスク管理能力が認められる専門投資家で、国家、韓国銀行(中央銀行)など法律に基づいて設立された基金・共済組合、株式上場法人のうち一定の要件を備え、協会に登録した者などが該当する。

もう一つはその他、専門性・リスク甘受能力を備えた投資家で、GP(業務執行社員)役員・運用人材、一定要件を備え、協会に登録した金融機関の財団や非上場法人などが含まれる。

既存ファンドが改正法令による運用方法の適用を受けるためには、上記のような有限責任社員要件を満たし、これを定款に明示し、金融監督院に報告しなければならない。

私募ファンドの運用規制も改善され、金銭貸与の運用方法、レバレッジ、経営参加目的の投資などに関する事項が調整された。

金銭貸与の運用に関しては、私募ファンドによる個人への融資および射幸性業種に対する貸出が禁止された。また、金銭貸与ファンドの投資家を機関投資家に制限し、運用会社に内部統制装置が設置されるようにした。

私募ファンドのレバレッジ比率の算定方法を改善し、投資目的会社も私募ファンドの運用方法を遵守するように規制も改善した。

金融委は「法令改正に伴う措置必要事項に対しては経過期間を付与する計画で、改正案の市場定着のために金融投資協会・PEF協議会を中心に市場との疎通を活発にしていく」としながら、「年末まで市場参加者の質疑事項に対するQ&Aを定期的に配布するなど法令遵守に困難がないようにする」と述べた。

チョン・テヒョン記者