韓国の銀行、バンカシュアランス好況にも笑えない

韓国のバンカシュアランス(銀行での保険販売)市場の好況にもかかわらず、銀行から喜びの声は聞こえない。販売件数は大幅に増加したものの、低い手数料率のため、うま味が乏しいからだ。しかも、当局はバンカシュアランスの規制強化を予告しており、収益性がさらに落ちるのではないかと懸念している。

販売増でも利益は減少

今年第3四半期、KB国民・新韓・ウリィ・ハナの4大都市銀行がバンカシュアランスで稼いだ手数料の累積利益は1803億ウォン(約1803億ウォン)で、前年同期(1930億ウォン)比で6.5%減少した。

保険会社が、銀行チャンネルを通じた販売増で収益を伸ばしたのとは相対的な流れである。今年1~7月、生命保険会社のバンカシュアランス初回保険料の収入は4兆5073億ウォンで、前年同期比3.6%増えた。

多くの規制により長期間に渡って萎縮していたバンカシュアランス市場が再び全盛期を迎えたのは、「新型コロナウイルス事態」の影響によるものだ。

厳しいソーシャルディスタンスでアクチュアリ―の営業が委縮する中、低金利の長期化で預金金利より収益率が高いバンカシュアランス商品に対する消費者の関心が高まった。

さらに、各銀行が私募ファンド事態以降、営業環境が悪化したファンドに代わる商品として保険に目を向けたことも、バンカシュアランスの伸張に貢献した。

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生命保険会社の初回保険料収入のうち、バンカシュアランスが占める比重は2019年末の74.1%から昨年末には80.6%に急増した。さらに、今年の7月には81.5%にまで上昇した。

当局は規制強化

しかし、バンカシュアランスの販売急増に笑ったのは保険会社だけだった。銀行がバンカシュアランスで稼いだ手数料利益はむしろ減ったからだ。販売商品の大半が、手数料率の低い貯蓄性保険である上、今年も超低金利基調が続き、3-5年納の短期商品に需要が集中した。

ある都市銀行の関係者は「銀行の預金よりもバンカシュアランスを好む顧客が増え、昨年に保険が多く販売されたのは事実だが、大半が短期納付商品で初回保険料が急増しても、これに伴う手数料を計算すると大きな収益を上げることはできなかった」と述べた。

また「保険会社も貯蓄性保険を負債に設定する新国際会計基準(IFRS17)導入を控え、貯蓄性保険の取扱額を減らすために銀行に支払う手数料率を下げている」と付け加えた。

銀行はバンカシュアランスの期待収益が今後、さらに減少するとみている。規制強化で営業環境の制約が増えたからだ。

今年3月、金融消費者保護法が施行され、保険契約の申込みの撤回権、違法契約の解約権などが導入され、融資実行日の前後の1カ月間は、融資先の顧客に保険を販売することもできなくなった。

また金融当局が、保険会社に一時払いの貯蓄性保険の販売手数料の分配で規制導入を検討していることも負担になる。

これまで保険会社は、顧客が12カ月間で払わなければならない保険料を1回で払えば、これに当たる1年分の手数料を、一括で銀行に支払ってきたが、不適切な販売を懸念する金融当局は、これに歯止めをかけた。

銀行の立場では、保険会社から手数料を分割で受け取ることになれば、貯蓄性保険の販促メリットが下がる。

ある都市銀行の関係者は「販売した保険について契約撤回の申込みが増えないよう、職員対象のバンカシュアランス教育を強化している。また、貯蓄性保険以外の商品販売量を増やすため、企業総合保険などバンカシュアランス商品のラインナップを多様化するなど、手数料収益の維持に力を入れている」と述べた。

アン・ソユン記者