韓国政府、保険会社の財務基準変更で経過措置
韓国の金融当局が2023年に導入される新支給余力制度(K-ICS・キックス)による保険会社の財務衝撃を緩和するため、経過措置を取る。
政府の金融委員会は先月27日、「保険資本健全性先進化推進団」の第8回会議を開催し、「2023年に保険契約会計基準(IFRS17)とともに施行する新支給余力制度の経過措置運営案の大枠を確定した」と明らかにした。
2023年から保険負債を現在価値に評価することを骨子とするIFRS17が導入される。現在、保険会社の財務健全性指標であるRBCも、現在価値評価方式のキックスへの移行を控えている。負債の現在価値評価で保険会社の負債が増加し、一部の保険会社の財務健全性の割合が下落すると予測される。
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そこで金融当局は、制度施行初期に表れる急激な財務衝撃を緩和するための方策として経過措置を設けた。
経過措置は、申請する保険会社に適用する経過措置と、全ての保険会社に適用する経過措置に区分される。
申請する保険会社に選別適用する経過措置は、責任準備金の増加分の漸進的認識(TTP)や新規保険リスクの漸進的認識(TIR)などがある。金融当局は、保険負債の現在価値評価による責任準備金の増加分を保険会社が一度に認識せず、経過期間に段階別に認識・積立する案を許可する。
責任準備金の増加分は、経過期間に事由が発生すれば再評価が可能だ。例えば、2年ごと(定期)または直前1年間の金利が0.50%以上変動した場合だ。保険会社が再評価を選択すれば、2年ごとに必ず再評価を行わなければならない。
それから、キックスで新たに認識する保険リスクについても、経過期間中、段階別に認識できるようにする。TTPとTIRは、申請する保険会社のリスク属性・資本余力などを勘案し、重複適用または一つのみを選択適用することとする。ただし、キックス比率の過度の上昇防止のため、1つの措置適用だけでキックス比率が一定水準(200%)以上になると重複経過措置を適用できない。
また、金融当局はキックス比率(TTP、TIR適用後)が100%未満でも、RBC比率が100%を上回れば、適時の是正措置を猶予することにした。
すべての保険会社に共通に適用する経過措置は、発行済の資本証券の基本資本の認定と業務報告書の提出、公示期限の延長などだ。金融当局は、キックス関連の業務報告書の提出や経営公示期限を経過期間に1カ月延長する。
同時に保険会社がキックス施行以前に発行した新種資本証券を経過期間に基本資本として認める。現行の支給余力(RBC)では、新種資本証券は基本資本だが、キックスでは補完資本だ。ただし、全体要求資本の15%までを基本資本として認めることにした。限度超過分は補完資本に分類する。
金融当局は、保険会社の受け入れ能力などを分析し、経過措置の適用期間など、詳細事項を設定する予定である。その後、経過措置の運営案を基準書に反映し、関連法の規改正も今年推進する計画だ。
金融委の関係者は「経過措置の適用期間などは第4次計量影響評価を通じて保険会社の受容能力などを分析した後、最終的に確定・発表する計画だ」としながら「IFRS17の施行およびK-ICS4.0による影響分析、業界の準備状況などを緊密に点検し、業界のコンサルティングなども強化していきたい」と述べた。
ユ・ジョンファ記者