韓国の銀行、住宅担保融資の「セルフ登記」ブームに頭を抱える

住宅売買によ所有権移転登記の手続きを専門代理人(司法書士)に任せず、直接処理し数十万ウォンの手数料を節約する「セルフ登記」ブームに、銀行の緊張が高まっている。 住宅担保融資において、登記事故は直ちに債権の不良化に直結するからだ。

不動産ユーチューバー「銀行員を説得して登記費用の節約を」

7月29日、金融業界によると最近、銀行圏では住宅担保融資に関する「セルフ登記」警戒令が広がっている。

融資担当職員に登記事故の発生に伴うリスクや免責不許可の内容を想起させ、相談の過程で所有権移転登記の計画を細かく確認して滞りなく進められるよう、モニタリングを強化するというものだ。

ウリ銀行は7月初めに発売した非対面住宅ローン商品「ウリWON住宅ローン」を利用する顧客が、所有権移転登記の手続きも同行が選定した司法書士にだけ任せるよう業務指針を改編した。対面相談を経ない商品の特性に合わせ、登記事故発生のリスクを最小化するための措置である。

こうした動きの背景には、近年に入って住宅担保融資を申請し、「セルフ登記」の同意を求める客が増えていることがある。

最近、ユーチューブやブログ、不動産スタディコミュニティなどのオンラインの情報流通チャンネルでは、「所有権移転登記の手続きは思ったより難しくなく、直接処理すれば20万~100万ウォンに上る司法書士の手数料を節約できる」という情報が広範囲に共有されている。

検索パーに「セルフ登記」を入力するだけで関連コンテンツが表示され、所有権移転登記をするのに必要な書類リストから書類発給機関、進行手続き、登記所の平均待機時間まで詳細を簡単に確認できる。

住宅金融の関連業務を行っている準政府機関「韓国住宅金融公社(HF)」の公式YouTubeチャンネルでも、今年3月にセルフ登記関連の動画を掲載したことがあり、アクセス数が1万を超えた。

「数億ウォンもする住宅を購入するのに数十万ウォンを節約しようとリスクを負う必要がなかった」という認識が共有されていた過去と異なり、最近は若者を中心に「ただでさえ高価な家、購入費用を少しでも減らそう」という価値観が急速に広がっている様相だ。

ただ、住宅担保融資を利用して住宅を売買する場合は、債権者である銀行側の同意が欠かせない。所有権移転登記は住宅担保融資の契約根拠である担保物(住宅)にきわめて大きな影響を及ぼす部分だからだ。

銀行は借主に対し、所有権が移転された担保物(住宅)に根抵当権を設定する条件で融資を行う。所有権移転登記の過程で、専門知識が不足する借主が登記を直接行う際に、万が一事故が発生すれば、担保物の権利も確保できなくなる恐れがある。そのため住宅担保融資の進行過程ではほとんどの場合、借主によるセルフ登記不許可を原則としている。

ある銀行関係者は「当日に貸付金が支払われ、所有権移転登記の処理ができなければ、直ちに不良債権化する。借主に所有権が移転されなければ、担保に根抵当権の設定もできなくなり、結局、数億ウォン台の住宅売買融資金を無担保、無信用で渡したことになるからだ」と述べた。

続いて「住宅担保融資の不実責任は100パーセント、職員の負担で、規模によっては解雇されることもある」とし、「職員はリスク管理のため、住宅担保融資の相談中に借主がセルフ登記の意思を明らかにすれば司法書士の利用を積極的に勧め、受け入れない場合には貸し出し承認を拒否することもある」と付け加えた。

「セルフ登記」に関する銀行の強硬な態度に、オンライン上では住宅担保融資を利用した上でのセルフ登記の成功談やポイントまで共有されている。

セルフ登記を許可した銀行支店と行員の名前を共有する一方、書類準備はセルフでするものの、「行員に気づかれないよう根抵当権の設定を行う司法書士に一部手数料だけ払って代理提出だけを要請し、費用を節約するように」という助言(?)までも出回っている。

また別の銀行圏の関係者は「数年前まではセルフ登記を要求する顧客など見かけなかったが、ある瞬間から少しずつ問題が表面化している」とし、「直接準備した所有権移転登記の書類一式を持って相談窓口まで訪れ、1時間以上も職員を説得する顧客もおり、セルフ登記を許可しない場合は銀行に司法書士を紹介して、手数料を半分にしてほしいとねばる顧客もいた」と話した。

また、「住宅担保融資の際に所有権移転のセルフ登記が可能かどうかが職員の裁量に委ねられているので、時には顧客と摩擦が起こっていると思う」とし、「法制化されない限り、内規だけで制限するのは難しい。十分な融資相談を通じて、不意に発生しかねないリスクを管理していくしかない」と付け加えた。

アン・ソユン記者