韓国の銀行、メタバース導入に拍車…不完全販売の懸念も

韓国の銀行が、メタバース(metaverse・拡張仮想世界)事業に積極的に参入している。同時に、非対面営業の高度化が引き起こす不完全販売の問題が浮上しており、関連規制が全くないことに対する懸念の声が上がっている。

業界関係者が7月30日までに明らかにしたところによると、都市銀行はメタバースを活用した技術と独自の金融サービスを結合して新たな仮想世界の構築に向かっている。国民銀行はアバターと仮想営業店を活用した多様な形態のメタバースを構築する計画だ。新韓銀行もIT企業と提携して独自にメタバースのプラットフォームを築く予定だ。

銀行は長期的に、メタバース営業店を通じて利用者に商品を紹介し、販売まで完結させる計画を念頭に置いているとされる。

問題は銀行圏が非対面時代に合わせ、デジタル化によりスピーディーな変化を見せている一方で、関連する法的指針の整備は追いていないということだ。

現在、韓国にはメタバースを規定する国内法はない。7月28日、国会立法調査庁は「メタバースの現状と今後の課題」と題した報告書を発表し、メタバースがもたらす副作用を防止するため、国会で議論する必要性を指摘したのが最新の状況だ。

指針の不在により、一部ではメタバース営業店を運営する場合に発生しかねない不完全販売などの問題に対する懸念が提起されている。

金融委「規制は時期尚早」

非対面取引は、銀行が自主的に構築したアルゴリズムと仮定を示し、利用者が自ら検証し、判断している。特に損失の可能性が高いファンドなど、危険商品は金融消費者保護法(金消法)施行以後、投資傾向分析の項目が大きく増えて説明の時間も長引き、加入するだけでも1時間ほどかかる。

非対面プラットフォームの特性上、利用者の表情や話し方などの反応を判断することに限界があり、商品説明を十分に認知しているか確認が容易ではない。これで、商品の特性を正確に理解し、加入するかどうかに対する確認検証手続きの必要性も指摘されている。

しかし金融委員会は、メタバース関連規制の導入は時期尚早という立場だ。

金融委の関係者は「メタバースをモバイルバンキングと類似した非対面サービスと見ている。モバイルバンキングの場合、金融実名法やセキュリティシステムなどインフラが整えられている」とし、「それに銀行がメタバースを活用して営業を開始したり、具体的な問題が提起されたりした例がないので、関連指針は具体化されていない」と述べた。

イ・ジウン記者