韓国の銀行、社外取締役は全員「YESマン」
2022年3月8日
韓国の4大金融持株・銀行の社外理事(社外取締役)がすべての理事会の案件に賛成するだけで、年平均6000万ウォンを超える報酬を受け取っている。金融当局が強調したガバナンス改善の努力が無駄に終わったとの指摘が出ている。
全案件に賛成、修正意見もなしで時給27万ウォン
銀行連合会が7日までに公示した報告書「支配構造および報酬体系年次報告書」によると、昨年、KB、新韓、ウリィ、ハナの4大金融持株会社と銀行の社外理事56人(兼職を除く)に支給された報酬は計37億3600万ウォンで、1人当たり平均6671万ウォンを受け取った。
社外理事らは昨年、理事会の案件を検討し、理事会に出席するのに平均250時間あまりを使った。時給換算で約26万6000ウォンを受け取ったわけだ。
個別の金融持株と銀行別ではKB金融持株の社外理事の年間報酬は平均9514万ウォン、KB国民銀行が平均7854万ウォンで最も高かった。支給された年間報酬のうち、KB金融持株はキム・ギョンホ社外理事に9900万ウォンを、KB国民銀行はイム・スンテ社外理事に8990万ウォンを支給した。
社外理事の役割は、経営陣に対する監視・牽制と企業の収益性を高めるために外部の専門家の立場で助言をすることだ。そこで企業は定期理事会、リスク管理委員会など多様な会議を開き、社外理事を招集する。
しかし、4大金融持株・銀行全体で、社外理事は昨年の会議で一回も原案修正や反対の意見を出したことがないという。
当局の規制も「骨抜き」
金融当局は、この数年間、最高経営者(CEO)を牽制するため、社外理事の専門性を強化すべきだとし、支配構造の改善にプレッシャーをかけてきた。
金融当局は、社外理事の候補の推薦経路を多様化させ、社外理事の候補推薦過程から経営陣の影響力を排除するよう指導した。また、2020年には社外理事の在職期間を6年に制限するなど資格条件を強化した規制も導入した。
金融持株会社や銀行はデジタル、ESG、消費者保護など各分野の専門家を社外理事に選出するなど、当局の方針に従っているような様子を見せた。しかし結局、人物が変わっただけで、すべての案件の賛成率が100%を記録する「挙手機」のような形から脱することはできなかったという。
金融界のある関係者は「社外理事が挙手機の役割を果たすという事実は金融界だけに限った話ではないが、ただの1件の否決がなかったという点はややひどいと思う」としながら、「大株主を牽制し、小口株主の利益を保護せよという趣旨が消えて久しい」と述べた。
続けて、「社外理事の使命感を育てるためには、外部評価を通じて実績が不振な理事は連任できないようにする規制が必要だ」としながら、「最近、金融当局が金融会社支配構造の先進化方案を発表する際、社外理事の外部評価を周期的に実施するよう勧告したが、強制性はない」と付け加えた。
アン・ソユン記者