韓国の金融持株、好業績でも企業価値の評価は低迷

韓国の金融持株会社が四半期ごとに歴代級の好業績を続けているが、企業価値に対する評価はこれに追いついていない。金融持株のトップらは自社株買いや消却など、積極的な株価浮揚策に乗り出したが、効果が得られずにいる。

4大金融持株、当期純利益17%増加

KB国民、新韓、ハナ、ウリィの4大金融持株の今年第1四半期の当期純利益は4兆6400億ウォンで、前年同期比17%増加した。融資資産が増えた中、金利も上昇し、高い利子利益を基盤に好成績を上げた。

しかし、金融持株の株価収益率(PER)と株価純資産比率(PBR)は業績と比べて芳しくない動きを見せている。

4大金融持株の昨年末の平均PERは4.3倍で、前年(4.81倍)より低くなり、この3カ月間に証券業界で発表された今年の展望値も4.42倍に止まった。コスピ(KOSPI)全銘柄のPERが10.2倍であることを考慮すれば、平均と比べて相当に低い数値だ。

金融持株別に見ると、KB金融のPERは2020年末の5.2倍から昨年末は5.19倍と下がり、同期間、新韓金融は4.75倍から4.89倍へと上昇したが、今年の予測値は4.81倍へと減少した。ウリィ金融は5.38倍から3.56倍に、ハナ金融は3.93倍から3.58倍にそれぞれ低下した。

平均PBRも0.39倍で、2011年から10年続けて1倍を下回っている。昨年末基準でKB金融のPBRは0.45倍、新韓金融は0.42倍を記録、ウリィ金融とハナ金融はいずれも0.36倍だった。PBRが1倍より小さいということは、時価総額が、会社が現金化できる資産(帳簿価格)より少ないという意味だ。

金融持株の企業価値は、国内銀行産業に対する展望を反映する。低評価されるということは、市場で国内銀行産業の将来を明るく見ていないという意味だ。

特に、金融持株のPER、PBRなどが重要な理由は、国内で上場している金融持株および銀行9社(カカオバンクを除く)の株式の過半数が、国民年金基金や政府機関によって保有されているからだ。金融持株の株式投資成果が良くなければ、国民の老後資金を支援する国民年金基金の安全性に影響を及ぼす恐れがある。

また、銀行を含む金融業界は高付加価値を創出するサービス業として良質の雇用を提供するが、フィンテックや海外進出など新規投資に事業を拡大したくても、株価の不振の中では大規模な投資のための増資に困難が生じかねないと指摘が出ている。

「銀行の収益見通しは暗い」

ある銀行のアナリストは匿名を条件に、「投資家が国内金融持株会社の利益創出見通しを高く評価しないのは、利子収益に依存する銀行の収益見通しが暗く、公共性強化で各種規制費用が増加していること、個人情報関連規制によってフィンテックを活用した付加価値創出が制限されるためだ」と分析した。

そんな中、金融持株会社のトップらは自社株の買い付けや焼却、配当の拡大などに積極的に乗り出し、雰囲気転換を図っている。

今年に入り、新韓金融持株の趙鏞炳(チョ・ヨンビョン)会長(2月7日、1200株)とウリィ金融持株の孫泰升(ソン・テスン)会長(3月4日、5000株)が自社株を買い入れた。KB金融持株は今年、1500億ウォン規模の自社株消却と配当性向の30%水準への引き上げを発表した。ハナ金融持株も配当性向を30%まで段階的に高める計画であり、自社株の消却も検討する方針だ。

ある銀行の関係者は、「金融持株の価値を高めるためには収益基盤を強化する対策作りが優先されるが、業界を圧迫する規制緩和も一定部分必要だ」としながら、「市場安定や金融消費者保護などに対する規制、監督は引き続き推進するものの、これに伴う費用が限度を越さないよう市場親和的な方向で政策の効率性を高めることが重要だと思う」と述べた。

さらに、「金融持株の配当に対する先入観の解消も課題だ。外国人の持分率が高い銀行が配当を多く行えば、国富が流出するという見方が多いため、配当性向が国際的に低いのが現状だ」としながら「資本の適正性を維持するレベルで配当性向を高め、株式の投資価値を高めれば、資金調達が円滑になり、新規事業への進出や企業金融の資金仲介機能の強化につながるだろう」と付け加えた。

アン・ソユン記者