金価格高騰の中、韓国で「純金積立」残高が減少

韓国国内外の情勢不安の影響で、安全資産である金に投資する「金テック」が脚光を浴びる中で、金の金融商品である「ゴールドバンキング(純金積立)」の残高は急激に減っている。

手数料・税負担避けマネームーブ

これまで取引方式の簡単さで人気を集めてきたが、金相場が急騰した上に、各種利用手数料の負担が大きくなり、需要に限界が生じたとみられる。

KB国民・新韓・ウリィ各行の5月末基準のゴールドバンキングの残高は6120億ウォンと集計された。前月(6140億ウォン)より0.32%減り、ピークを打った今年1月末(7000億ウォン)と比べて12.57%減少した。

ゴールドバンキングは、顧客が積立預金のように金額を決めて取引を申請すれば、該当金額分だけ国際金相場と為替レートに合わせて金の重量を口座に積み立ててくれる金融商品だ。実物取引より買い取り・売り方が簡単で、0.01g単位で小口投資が可能なため、代表的な金テックの手段の一つとして挙げられる。

韓国国内市場で金相場は、世界経済の不確実性拡大によるインフレ懸念と株式・仮想通貨暴落の影響により、昨年から徐々に上昇の勢いを示している。

韓国取引所(KRX)によると、6月24日のKRX金市場での金相場は1g当たり7万6270ウォンを記録した。昨年末の6万8950ウォンから6カ月で10.61%上昇した。国内外の情勢不安の長期化によって、安全資産への選好心理が強くなっている点で、金相場の上昇はしばらく続くという見通しが優勢だ。

「金テック適期」と判断される現時点で、ゴールドバンキングの残高が減るのは、最近の急騰傾向による差益実現の影響とともに、利用手数料が増えにつれ、負担を感じた顧客の離脱が増えたためと分析される。

ゴールドバンキングは金の買い取りと売却時にそれぞれ取引金額の0.5~1%、引き出し時には全体の金額の4%程度の手数料が発生する。金が歴代最高値を上回る状況の中で、負担しなければならない手数料も高まる仕組みだ。さらにゴールドバンキングには、売買利益に対する15.4%の利子配当所得税も付く。

「銀行商品」は売り越し

税金や手数料など各種の費用負担により、ゴールドバンキング以外の投資方法を模索する人たちが増えている。

KRX金市場でも証券口座を利用すれば、金を現物ではなく株のように売買することができる。手数料は0.3%前後でゴールドバンキングよりはるかに安い。また、譲渡所得税や配当・利子所得税がなく、金融所得総合課税の対象から除外される強みもある。

上場投資信託(ETF)は、金を資産に含めた商品が人気だ。金ETFは、ファンド投資やゴールドバンキングより、為替レートによる価格差異を減らすことができる。手数料も0.5%前後と安い方であり、取引所に上場しており、株式のように自由に売買することもできる。

また、金に投資した資産を証券口座に移す「マネームーブ」現象も続いている。

KRXに公示された投資家別の金取引実績を調べると、最近6ヶ月間、金融投資商品は495億9500万ウォン(73万483g)買い越されたが、同期間に銀行商品は373億3650万ウォン(50万6039g)売り越された。

銀行圏のある関係者は「今年初めにゴールドバンキングの残高が急増したが、最近また減っていく傾向だ」と述べ、「金がピークを打った後、利益確定が多くなり、追加上昇の見通しにも『とにかく買っておこう』と考えるより自分に合った投資先を探して資金を移す顧客が増えたと思われる」と述べた。

続けて「MZ世代の金テックニーズを反映した1gのゴールドバー販売から、非対面加入が可能な金現物信託など、ゴールドバンキング以外でも銀行でのみ提供するサービスと商品で顧客の関心を引くために努力している」と付け加えた。

アン・ソユン記者