韓国金融当局、貯蓄銀行に貸倒引当金の強化要請
韓国の貯蓄銀行は、多重債務者の比重が増えるとともに、貸倒引当金の積み増しへの圧力が加わり、下半期の収益性の悪化が予測されている。
「多重債務者」対策、収益圧迫
昨年5月末、貯蓄銀行の多重債務者の割合は75.8%だった。2019年末に69.9%、2020年末には71.2%と上昇が続いている。
金融監督院が共に民主党のイ・ジョンムン議員に提出した資料によると、昨年末の貯蓄銀行の多重債務残高は2017年比で74%増加した。他業圏の銀行(32%)、カード会社(38%)と比べても著しく増加した数値だ。
韓国で多重債務者は、3つ以上の金融会社から借り入れのある債務者を指す。債務関係が多いだけに金利上昇期の利子負担が加重されるため、延滞率上昇など金融市場の不安要因とされている。
金融当局はこれを考慮して、貯蓄銀行が多重債務者融資に対する貸倒引当金を積み増す要件を、第3四半期内に新設する計画だ。
引当金の拡大、営業利益の減少につながる
内外の経済不確実性が大きくなり、基準金利が急激に上昇するにつれ、当局が貸付市場の健全性管理を強化するために事前対応する形だ。
貯蓄銀行が当局の要請に従い、貸倒引当金の積立を強化した場合、その分、営業利益が減少するしかない。
大型貯蓄銀行10社が今年第1四半期に固定した引当金の積立率は128%で、前年同期の119%と比べ9%増加した。結果的に当期純利益は29兆33億ウォンから23兆9800億ウォンに18%(5兆3500億ウォン)減少した。
多重債務者の比重が急激に上昇していることを踏まえると、当局が新設を予告した引当金の積み増し要件は、業界の負担を加重させる恐れがある。
ある貯蓄銀行関係者は「該当要件が新設されると、引当金を多く積み立てるにつれ、貸出の営業も保守的にならざるを得ない。結局、引当金の拡大は営業利益の減少につながる」とし、「現在は、金融監督院の要請の通り、健全性管理に注力しなければならない状況だと見ている。しばらく利益が減少するだろうが、今後の再成長のために安定した運営を図るだろう」と述べた。
チョン・テヒョン記者