韓国「7兆ウォン異常外為取引」で当局と銀行に軋轢

韓国の主要銀行で見つかった異常な外国為替送金取引の発生について、金融監督院と銀行が早期に発見できなかった責任を転嫁しあっている。

「仮想通貨口座」中国・日本に大量送金

韓国では6月以降、ウリィ銀行、新韓銀行、ハナ銀行などから取引目的が不明朗な数兆ウォンに達する資金が、ほぼ同じ時期に中国や日本など海外に送金されたことが発覚。検察が捜査に乗り出している。

金融監督院は、各行の外国為替業務の取り扱い及び資金洗浄防止業務の履行のお粗末さを責めている。一方で銀行は、疑わしい状況を当局に報告し、警戒を強化したが、表面的に問題がない限りは自ら取引を遮断することはできなかったと主張している。

去る6月末、ウリィ銀行と新韓銀行は独自の監査を通じて、最近1年間にそれぞれ8000億ウォンと1兆3000億ウォン規模の異常の外国為替送金取引が起きたことを発見し、金融監督院に検査を要請した。

金融監督院は中間検査の結果、異常取引のほとんどが国内の仮想資産取引所から貿易法人口座に資金が移された後、輸入代金名目で海外法人に送金されていたと明らかにした。

これを受け、金融監督院は異常取引資金が仮想資産を利用した不法外国為替取引や資金洗浄に悪用された可能性を踏まえ、ウリィ・新韓以外の銀行にも自主検査実施及び資料提出を要求した。

金融監督院の検査により明らかになった取引規模は、現在検査中のものを含めて合計44社、53億7000万ドル(約7兆508億ウォン)に達するとされる。銀行が外国為替取引法やマネーロンダリング防止法に違反していないかを集中的に調べる方針だ。

金融監督院の関係者は「検査の結果、外国為替業務の取り扱い及び資金洗浄防止業務をきちんと履行していないことが確認された銀行については、事実関係などをもとに関連法規及び手続きに従って厳重に措置する方針」と述べた。

「取引遮断は不可能」

一方、銀行は金融監督院の全数調査に積極的に協力する態度を見せながらも、外国為替業務の取り扱い及び資金洗浄防止業務の履行が疎かだったという指摘は受け入れがたいとの態度を見せている。

ある銀行関係者は「銀行の窓口で全ての外国為替送金取引を管理するのは現実的に難しい。送金規模など外国為替取引法上、問題のない取引顧客に対して、一定レベル以上の証明を要求できないからだ」と言った。

続けて「代わりに外国人の現金送金や仮想資産関連取引は営業店と本店で随時モニタリングし、疑わしい取引を捕捉したら金融情報分析院に報告している」とし、「ただ、疑わしい取引状況を報告するだけで犯罪資金であるかどうかの物証は確保できないので、異常な外国為替取引自体を遮断する方法はない。内部統制に問題があったとされるのは心外だ」と説明した。

実際、金融監督院は昨年4月、国内で取引される仮想資産価格が海外より高く取引され、それを通じて差益を得る違法な外国為替取引をする外国人が多くなると、外国為替送金取引に対する実務指針を強化する警戒令を下したことがある。

これを受けて銀行は、全営業支店に対し、外貨送金を希望する顧客から資金の出所や用途などの説明を受ける手順をさらに厳しくするという公文を送ったが、これが犯罪予防で実質的な効果を持つかどうかは微妙だ。
金融監督院さえ「額面上の規定限度金額である取引の実体を確認するのは容易ではない」という意見を述べていた。

一方、イ・ボクヒョン院長は先月28日の国会政務委員会の全体会議で「異常海外送金事件で書類操作の可能性があるか」とする質問に、「不法性が明確で、その過程で大量の外国為替の海外流出が確認された」と述べた。

続けて、金融監督院の監督システムがうまく機能していないとの指摘では、「監督システムからどうして漏れたのか、改善策を用意して報告する」と答えた。

アン・ソユン記者