韓国の市中資金、銀行預金を回避する傾向
韓国で政策金利の引き上げを受け、高い預金金利を求めて銀行に集まっていた市中資金が、再び移動している。金融当局による受信金利競争の自制呼びかけと、銀行債発行の正常化で預金の高金利メリットが減退し、消費者の離脱が始まったと思われる。
「金利競争控えよ」当局勧告が影響
韓国銀行経済統計システムによると、昨年11月の銀行の定期預金の末期残高は991兆9390億ウォンと集計された。当該数値は△7月=857兆8818億ウォン△8月=878兆2671億ウォン△9月=909兆4400億ウォン△10月=965兆318億ウォンから上昇傾向にある。
ただ、満期ごとの末期残額の推移からは、異なる様相が見られる。満期6カ月未満は、昨年7月の159兆5540億ウォンから11月の252兆6990億ウォンへと58.37%増加したのに対し、6カ月以上1年未満は180兆2423億ウォンから180兆2427億ウォンと、変動が微々たるものであった。
同期間、1年以上2年未満と2年以上3年未満は、それぞれ8.66%(473兆9453億ウォン→515兆275億ウォン)と2.5%(25兆3873億ウォン→26兆240億ウォン)の伸びにとどまり、3年以上は18兆7529億ウォンから17兆9458億ウォンへとむしろ4.3%減少した。
基準金利引き上げの最終段階で長期預金が減るのは異例の現象だ。安定を好む預金者は、金利がピークに達した時点で満期が長い商品に加入、高い利子率をできるだけ長く維持する戦略をとるからだ。
銀行債の発行再開も
韓国銀行の金融通貨委員会は13日、今年初の定例会議を開き、基準金利を3.25%から3.5%に0.25%ポイント引き上げた。グローバル投資銀行のJPモルガンは、韓国銀行の金利引き上げのターミナルレートを3.5%と予想している。
投資家はこうした長期預金加入の適期を待っていたものの、銀行が預金金利を引き下げたことが変数になった。
金融当局は銀行圏に対して、預金金利の引き上げ競争を控えることを呼びかけた。資金の集中と融資金利の上昇が伴うことを懸念した措置だった。
さらに、債券市場の安定を受けて、昨年末から銀行債の発行が再開され、低コストの資金調達が容易になった銀行にとって、預金金利を引き上げで市中資金を集める誘引が弱まった点も影響した。
こうした状況が重なり、昨年には5%台を超えていた銀行の1年満期の定期預金金利は、今月に入り3%台まで下がった。地方・インターネット銀行も歩調を合わせ、年4%台へ金利引き下げを断行した。
また、銀行は通常、期間の長い預金ほど金利を高く設定するものだが、最近はむしろ満期2年以上の商品に対しては優遇金利を削る傾向さえある。
アン・ソユン記者