韓国の「個人総合資産管理口座」、消費者も銀行も敬遠

韓国の銀行で、個人総合資産管理口座(ISA)への需要が急速に減っている。ISAを鶏肋(けいろく)扱いする銀行が、専用の預・積金の金利を低く設定して、加入するメリットが下がったからだ。

金融投資協会によると、今年5月末基準の銀行ISA加入者は102万3998人と集計された。

新規加入より解約する件数が毎月増え、昨年末の105万7895人から5カ月で3万3897人が解約した。先月の加入金額も1331億ウォンで、前年同月(2464億ウォン)と比較して半分近く減った。

ISAは1つの口座で預金、ファンド、株価連動証券(ELS)など様々な金融商品を集め、利子・配当所得に対して最大200万ウォンまで非課税、200万ウォン超過利益分には9.9%の分離課税の恩恵を与えている。毎年2000万ウォンずつ5年間で最大1億ウォンを預けることができ、義務加入期間は3年だ。

運用方式は信託型と一任型、投資仲介型の3つに分けられるが、このうち銀行で加入できるのは信託型と一任型だ。信託型は個人の判断と指示に従って運用され、一任型は財務設計士(FP)など専門家の判断に任せる方式だ。

かつて、ISA市場は銀行の独り勝ち状態だった。

低金利基調が続いた上で、銀行で販売する信託型ISAを通じて安定的に資金を運用し、節税の恩恵を受けようとする需要が集まった。現在も銀行のISA加入者の中では信託型の割合が80%以上で、95%を超える投資金が預・積金に入っている。

しかし、今年に入って受信金利が下向きに転換し、ISA市場の版図が変わり始めた。

基準金利が上がるたびに上方調整され、昨年11月14年ぶりに年5%台(12ヶ月満期基準)を突破した定期預金金利は、金融当局の過当競争に対する自制令で足踏みし、現在は3%台に下がった。

ISAで節税の恩恵を受けるためには、義務加入期間3年を満たさなければならない。今後の数年間、預金金利が反騰することがないという見通しが出て、損失リスクを勘案しても、期待利回りが高い証券会社のISAに目を向ける人が多くなった。

何よりも銀行が、ISAの顧客誘致に以前ほど熱心ではない雰囲気だ。

銀行の顧客が主に選択する信託型ISAは、加入者本人が商品を直接選択して資産を運用する方式であるだけに、他の投資商品に比べて手数料が非常に低い。

現行法上、ISAを通じて自社商品を販売できないという点も営業動機を喪失させている。例えば消費者がA銀行でISAを作り、預・積金を要求すれば、信託会社の役割を担ったA銀行は自社商品を除いた他の銀行の預・積金を選択させるしかない。

商品導入の当初は、これを主導した政府の業績作りに協力する立場から、ISA専用商品の金利を一般商品より高く策定していたが、結果的に他行のISA加入顧客の満足度だけを高めるに過ぎないことから、徐々に利率を下げた。

銀行連合会によると、先月末の市中銀行5行の1年満期一般定期預金金利は年3.71~3.85%だ。一方、ISA専用の定期預金金利は年3.05〜3.40%にとどまる。

銀行圏のある関係者は「自社商品を組み込むこともできないISAをめぐって銀行が競争を繰り広げなければならない誘因が消え、金利環境も改善されない流れだ」とし、「むしろ金利を上げたら、自社預金が競争銀行に流れていくのを懸念しなければならない状況だ」と述べた。

続けて「顧客としても低い収益率と義務保有期間(3年)があるISAには気軽には手を出せないだろう」とし「IRPなど非課税が適用されるものの類似商品として営業している」と付け加えた。

アン・ソユン記者