韓国の銀行圏、加算金利で格差…消費者の負担加重
韓国の銀行の融資利子費用を左右する加算金利が跳ね上がっている。ただでさえ、基準金利の引き上げや強力な家計債務規制を受け、融資の敷居が高くなっている現状の中、各銀行が加算金利によって消費者の負担をさらに重くしているのではないか、点検が必要だとの指摘が出ている。
1年間で1.41%増
韓国銀行連合会が19日までに公開した資料によると、国民・新韓・ウリィ・ハナ・IBK企業・NH農協銀行の6社が、昨年11月に取り扱った一般信用融資(庶民金融を除く)の平均融資金利は3.91%だった。前年同月(2.5%)と比べ、1年間で1.41%上昇した。
融資金利が短期間で高騰したのは、相次ぐ基準金利の引き上げを受け、国債や銀行債など融資準拠金利が上昇した影響が大きい。同時に、各銀行が融資のマージン率を高く見積もって、加算金利を引き上げたのも理由のひとつだ。
同期間、平均基準金利は0.79%から1.47%へと0.68%上がり、加算金利も2.61%から2.99%へと0.38%上がった。
加算金利は、銀行が電算処理費用や人件費、リスクプレミアム、目標利益率など様々な要因を考慮し、どのくらいの利潤を目指すかによって、自主的に算定する。
加算金利の算出に反映する要素や加重値に対する細部内容は銀行ごとに異なり、徹底して営業機密として管理されているため、消費者は知りようがない。
銀行別の加算金利の格差も大きい。韓国の主要6行が、昨年11月に取り扱った一般信用融資の平均加算金利は、△ハナ銀行4.32%△KB国民銀行3.41%△新韓銀行2.89%△IBK企業銀行2.49%△ウリィ銀行2.48%△NH農協銀行2.4%の順だった。
「市場を歪める」批判
各銀行は、家計向け融資に対する金融当局の強力な総量規制に合わせ、融資増加を抑制するためには、加算金利の引き上げは避けられないと抗弁している。しかし一部では、当局が加算金利の引き上げを暗黙的に容認しているのを受け、銀行が融資需要の急増に乗じて暴利をむさぼっているのではないかという批判が出ている。
特に、資金調達費用や信用原価、業務原価など事業運営の環境と顧客群が似ているにもかかわらず、銀行同士の加算金利の格差が広がっているのは、マージン率の設定による「どんぶり勘定式」の金利算定が、市場を歪める大きな要因であるとの見方を裏付けるとの指摘もある。
当局は2019年、合理的で透明な銀行圏の融資金利算定の体系を構築するため、新規融資、更新、延長の際に銀行が借主に融資金利算定の内訳書を提供するようにした。
しかし、当該内訳書は所得や担保など借手本人が銀行に提供した基礎情報がきちんと反映されているかを確認する程度の内容だ。このため、加算金利などが合理的に算定されたかどうかを消費者が理解するのに実質的な効果はない。
ある金融界の関係者は「加算金利は銀行がどのくらいの利潤を策定するかによって変わる。銀行が融資利益を過度に確保しているという指摘も絶えなかったのもこの部分のせいだ」としながら、「当局は銀行が自律的に決める加算金利に介入する場合、価格統制で市場秩序を乱すという非難は避けられない。その結果、うかつに動くことはできない」と述べた。
これに関し、金融委員会の関係者は「市場の自律に委ねられた加算金利をめぐり、単に高いと問題視することはできない」としながらも、「金利決定に直接介入することはできないが、合理的でない金利引のき上げはそのまま消費者の負担に転嫁される可能性があるので、融資金利の動向、預貸マージンの推移などを持続的にモニタリングしている」と説明した。
アン・ソユン記者