韓国政府「カードローン規制」で債務者の金利負担が増大

韓国金融当局が、カード会社の長期融資商品であるカードローンに対し、総負債元利金返済比率(DSR)規制の適用を決めたことを受け、高金利の短期融資商品であるキャッシングサービスの利用が増えるものと見られる。すでに大手金融グループのキャッシング融資残高は増加傾向を見せており、当局の規制が、債務者の金利負担増加につながるとの憂慮も出ている。

規制強化、1月に繰上げ

金融委員会によると、来年からは借主単位のDSR算定の際、カードローンも対象になる。

総負債元利金返済比率(DSR)は、融資を受けようとする人の所得に対する金融負債の元利金返済額の割合を意味する。

これまでの金融当局は、低所得者や低信用者の金融萎縮の可能性を考慮し、カードローンをDSR規制から外してきた。しかし、カードローンの融資残高が増え、来年7月に予定されていたDSR規制を1月に繰り上げた。

金融当局がカードローンに注目するのは今回が初めてではない。今年9月の家計債務点検会議では、現代カードとロッテカードに対し、家計向け融資増加率の目標値をじゅん守するようにと注文している。金融当局が設定したカード会社の家計向け融資の増加率は5~6%だ。

「借り入れ条件、悪化する」

カードローンへの締め付けとともに、カード会社のカードローン残高はこの9月、15カ月ぶりに減少に転じた。野党・国民の力の尹暢賢(ユン・チャンヒョン)議員室によると、9月、カード会社7社(新韓・KB国民・サムスン・現代・ロッテ・ウリ・ハナ)のカードローン残高は34兆887億ウォンと、前月(34兆6226億ウォン)に比べ5000億ウォン以上減少した。

一方、今まで無視されてきキャッシングサービスに関心が集まっている。キャッシングサービスはもともと、DSR規制にも含まれないので規制から自由であり、初めから高金利商品なので利上げの影響も少ない。

今年7月、韓国銀行(中央銀行)が利上げを行って以降、カードローンの平均金利は着実に上がった。今年6月に12.45~13.52%だったカードローンの平均金利は、先月には12.60~15.43%まで上がった。キャッシングサービスの平均金利は6月基準、17.78%~19.90%と既に法定最高金利に近接しており、上がる余地は少ない。カードローン金利とキャッシングサービスの平均金利の差が縮まっていることを意味する。

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その結果、カード会社でのキャッシングサービス資産が増加していることが明らかになった。KB金融グループの経営実績によると、今年第3四半期のKB国民カードのキャッシングサービスに関する資産は1兆1088億ウォンで、金融監督院が集計した第2四半期の資産(9858億ウォン)より12.5%増加した。今年第1四半期(9328億ウォン)まで下落傾向だったことを勘案すれば、第2四半期からの上昇転換だ。

新韓カードの第3四半期のキャッシングサービス資産も1兆6344億ウォンと、昨年第2四半期(1兆5980億ウォン)に比べ小幅増加した。

「実需要者、利子負担加重の可能性」。

高金利商品のキャッシングサービス需要が増え、需要者の利子負担はさらに重くなりかねないという懸念も出ている。金融当局の実需要者向け融資を保護すると主張しながら、カードローンをDSR規制に含めたのは理解できないという指摘だ。

韓国クレジットカード学会の徐志蓉(ソ・ジヨン)学会長は「チョンせ(伝貰)と中途金融資だけを実需要と認め、カードローンの使用は制限するという点で今回の家計債務管理案は事実上、カードローン規制強化案だ」とし、「こうなれば政府の意図とは逆に実需要者が高金利融資の商品に集中する可能性があり、借主の負担と融資条件がかなり悪化する可能性がある」と述べた。

パク・ジンヒョク記者