韓国証券業界のマイデータ事業に「中途半端」との評価
韓国の証券会社による本人信用情報管理業(金融マイデータ)のモデルサービスが始まったが、「中途半端」だとの指摘が出ている。発売日程を繰り上げることを急いだ結果、特化したサービスが見られなかったからだ。
正式な開始は2022年から
NH・未来アセット・ハナ・キウムなどの証券4社は今月1日から、マイデータのテストサービスを開始した。しかし、証券会社のマイデータ事業で最も期待されていた「投資現況分析に基づく個人適合型資産管理(WM)」サービスの提供は来年1月以降に先送りされた。
NH投資証券がテスト期間中に公開するマイデータ関連サービスは、単純照会サービスの「統合資産の現況」だけだ。追加で「金融お知らせ」サービスを提供しているが、イベントを告知する程度に過ぎない。
NH投資証券ならではの力量を集約した分析・提案サービス「投資成果レポート」や、収入・支出内訳分析サービス「私の消費」などは来年1月以降に公開する予定だ
NH投資証券より10カ月ほど先に事業権を取得した未来アセット証券も、状況は同じだ。昨年1月、証券会社では初め本認可を取得し、最も長い準備期間を経た。しかし、超個人化資産管理や年金・節税などに特化した諮問サービスは段階的に公開される計画だ。
ハナ金融投資はグループのマイデータ共同ブランドである「ハナハップ」を通じ、系列会社が提供するマイデータサービスを同時に利用できるようにした。しかし、「配当情報サービス」などを重点とした特化サービスは、なおテスト作業中である。
キウム証券も「データをうまく活用して資産を育てる機会を提供する」という方向性を盛り込んだ差別化したサービスの提供は、来年1月ごろに可能になると予測している。
顧客先取りのため
証券会社が、準備が十分にできていないにも関わらずオープンを急いだ理由は、来年1月1日からのマイデータサービスの公式ローンチの前に、顧客を事前に誘致するためだと見られる。
業界別の境界が崩れ、ビッグテックとの競争が激化する状況の中で競争力を確保するためには、新成長動力であるマイデータ市場を先取りすることが重要だと判断されている。
ただ、金融業界では証券会社が単にサービスの発売を急いだだけでは、顧客を囲い込むのは難しいという懐疑的な見方が多い。
証券業界の場合、他金融業界に比べ投資と直結しているだけに、単発的な主導権争いよりもポートフォリオの分析・評価に基づくサービスの差別性と完成度が重要という分析に基づく見方だ。
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ある証券業界の関係者は「証券会社の顧客は忠誠度が高く、他の金融業界に比べて顧客の離脱率が高くない方だ」としながら、「初期のマイデータ事業は短期間の顧客争奪戦よりもブランドのロックイン効果を狙うための装置として活用される可能性が高い」と述べた。
一方、マイデータ本認可を取得した韓国投資証券とKB証券は、テストサービスのオープンをせず、早ければ来年1月中にマイデータサービスを公式に発売する方針だ。
ユ・スジョン記者