韓国の証券会社CEO、2022年の生存戦略を公開

韓国の証券会社の業績を牽引してきた株式相場の好調が終わりに近づいた。これを受け、証券会社は中長期的な成長に向けた主要経営戦略として、新成長動力の確保を強調し、変化を予告している。

「好材料は出尽くした」対策作り急務

韓国取引所が4日までに公開した資料によると、有価証券市場の昨年の1日平均出来高は15兆4242億ウォンで、前年同期の12兆2004億ウォンに比べ26.4%増加した。同期間の取引量は8億9526万株から10億3948万株へと、16.1%増加した。

2019年と比較した場合、成長の傾向がよりはっきりとしている。4兆9898億ウォンだった2019年の1日平均出来高は2年間で3倍を超え、取引量(4億7072万株)も2倍以上増加した。

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ただ、昨年の成果が全て上半期に集中したことは、証券市場の好材料が出尽くしつつあることを示唆しているというのが、証券業界の関係者の見方だ。

2020年12月、18兆ウォン水準だった1日平均出来高は昨年1月、26兆ウォンまで増えたが、以後、減り続け、平均15兆ウォン台を維持した。昨年第4四半期には10兆ウォン台まで下がったが、特に12月には9兆9195億ウォンを記録して2020年5月以降初めて10兆ウォンを下回った。

1日平均取引量も昨年12月に4億8480万株まで下落した。1日の平均取引量が5億株を割り込んだのは、2019年10月以後の2年2カ月ぶりのことだ。

証券業界は最近、業績増大の柱だった株式取引の成長の勢いが鈍化しているだけに、中長期的な成長のためには、新成長動力の確保に力を入れるべきだと口をそろえている。ブローカレッジ(委託売買)手数料のほか、安定的な収益源を発掘すべきとの見方だ。

韓国の証券会社の最高経営責任者(CEO)らは、新年の挨拶を通じて、変化が伴った競争力の向上を強調している。CEOらが打ち出した中長期的な成長戦略は△デジタル△新事業△ポートフォリオ多角化と、大きく3つに分類される。

デジタル強化戦略を強調

まず、新型コロナウイルス以後、加速化している非対面金融環境に対応するためのデジタル強化戦略は、昨年に続き今年も最大のテーマだ。

新韓金融投資のイ・ヨンチャン代表は「証券業界を超えて総合投資プラットフォームとして市場を先導するために、IT投資を画期的に増やしている」としながら、「デジタルリーディングカンパニーに生まれ変わる前に次世代ICT(情報通信技術)システムを設計するためのプロジェクトも進める計画だ」と述べた。

信栄証券のファン・ソンヨプ代表も「デジタル環境によって変化している金融業界の本質を積極的に対応しなければ、決して未来は明るくない」として、デジタル転換の重要性について強調した。

韓国投資証券のチョン・イルムン代表も同様に、持続可能な成長の根幹であり、今後も引き続き力を入れるべき課題としてデジタル革新を取り上げ、今年の全部門のシステム再整備を注文した。

新事業開拓も

未来の新成長動力として位置づけられる新しいビジネスを開拓する作業も、証券会社の中長期的な成長に向けた主要課題のひとつとして取り上げられている。

未来アセット証券のチェ・ヒョンマン代表は「仮想通貨、ブロックチェーン、メタバース、NFTなど最新の変化を素早く捉え、新しい価値を創出する企業は新規市場の強者として成長した」とし、「我々を取り巻く多くの領域で変化と成長の機会が見えるだけに、未来の新しい成長動力を積極的に探して推進しなければならない」と説明した。

続いて「マイデータ事業の施行によって全金融会社の資産がオープンになり、金融商品の訪問販売、退職年金IPSとデフォルトオプションが新たに施行される」とし、「競争力あるソリューションとオーダーメードのようなコンテンツを他社より先に準備した企業が市場を掌握する」と付け加えた。

高度化と多角化

ポートフォリオの高度化や多角化など、証券会社の本業の中身を増大させるための作業も、多くの証券会社が取り組んでいる主要経営戦略だ。

KB証券のパク・ジョンリム、キム・ソンヒョン両代表は「投資ソリューションの提供は、全ての部門で富を増やそうとする顧客のニーズを満たすため重要だ」としながら、投資ソリューションを中心とする事業モデルを高度化することを明らかにした。

IBK投資証券のソ・ビョンギ代表も「多様なビジネスを拡充して収益力を強化すべきだ」とし「トレーディング、資産管理(WM)、投資銀行(IB)などに収益構造を多角化し、安定させる」と表明した。

イーベスト投資証券のキム・ウォンギュ代表も「投資事業部門はリスク管理に基づき、収益力を強化し、手数料事業は基盤をさらに強固にして商品営業の活性化を図るべきだ」とし「新事業進出を加速化するためのライセンス獲得と垂直系列化の試み、全社の支援力量の高度化も同時に推進する」と述べた。

ユ・スジョン記者