激動のドル相場…韓国保険会社の損益に影響は

韓国では最近、ドル相場の変動性が大きくなった状況でも、国内の保険会社が受ける影響は限定的なものと予想されている。保険会社が積極的な為替ヘッジ(為替リスク回避)戦略を展開したためだ。しかしコストが膨らみ、帳簿上の損益変動性は拡大するだろうという懸念が出ている。

生保の外貨有価証券は105兆ウォン

昨年11月、韓国の23社の生命保険会社の外貨有価証券の保有規模は104兆9436億ウォンだった。前年同期の102兆55億ウォンに比べ、2兆9381億ウォン(2.9%)増えた数値だ。増加規模はサムスン生命が21兆3296億ウォンで最も大きく、教保生命(19兆263億ウォン)、ハンファ生命(17兆1028億ウォン)などが後に続いた。

通常、保険会社が海外債権を買い入れると、保有する期間、為替リスクに直面する。そのため、保険会社は外国為替市場で派生商品である通貨先導または通貨スワップ(SWAP)契約を締結、為替相場を固定して変動によるリスクを回避する。

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これを受け、国内の大手保険会社は、保有している海外債権に、為替ヘッジの割合を高く設定している。為替ヘッジをしなければ、投資金額の一部を所要ソルベンシー資本で積まなければならず、負担が大きいためだ。さらに昨年、金融当局が為替ヘッジの満期が1年未満の場合、リスクを追加で反映するようにし、保険会社の為替ヘッジの満期も長引く傾向を見せている。

利益よりリスク管理

為替ヘッジの割合が高いというのは、保険会社が海外投資で為替のそのものの変動を通じて利益を追求するよりリスク管理に力を入れているという意味だ。保険会社は、株式など一部の資産で為替ヘッジの割合を調整しているが、為替変動を予測しづらいだけに、保守的にアプローチする雰囲気だ。

例えば、海外投資規模の大きい「BIG3」(サムスン生命、ハンファ生命、教保生命)も海外債権については100%為替ヘッジを基本原則としている。東洋生命や未来アセット生命などの保険会社も現在、為替ヘッジの割合の縮小は検討していないという立場を示している。

業界はこのような為替戦略により、最近のドル相場に大きな変動があるにもかかわらず、保険会社の資産価値の変化は大きくないと見ている。実際のドル相場は、今月17日基準で21ウォン安の1210ウォン台で取引を終えた。2年ぶりの最大の下げ幅だ。ウクライナ事態の影響で強気を見せていたドル相場は、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ発表とともに急落した。

損益悪化の恐れも

ただ、ヘッジ費用が増え、損益の変動性が拡大しかねない面もある。ウクライナ事態の影響などを受け、ドル高が続くことになれば、会計上の資本に計上される債権評価利益は上がっても、為替ヘッジ費用が膨らみ、帳簿上の損益が悪化しかねないという分析が出ている。

これとは逆にウォン高が進めば、その分帳簿上の損失が減ることになる。為替ヘッジ費用によって損益変動性が大きくなるわけだ。特に、短期為替ヘッジ戦略を実施する保険会社は現在、為替ヘッジ費用を削減する代わりに、未来の為替ヘッジ費用の増加で損益変動性を拡大する可能性があるという指摘が出ている。

ある保険業界の関係者は、「ドル高が続けば、保険会社の為替ヘッジ費用負担が大きくなる」としながら、「海外債権評価利益は保険会社の損益に影響しないが、為替ヘッジ費用は損益として反映される。保険会社の資本には変動がないが、会計不一致で為替変動性が大きくなる場合、帳簿上の損益変動性も大きくなる可能性がある」と述べた。

ユ・ジョンファ記者