韓国の銀行圏、次期政権の「バッドバンク構想」に難色
韓国の大統領職引継委員会が新型コロナウイルスの被害を受けた小規模事業者·自営業者の救済案として「バッドバンク」設立カードを切り出した中、銀行は不安を覚えている。
意見の差で「生みの苦しみ」
出資方式から不良債権の評価方法、買入規模など、参加銀行間で発生し得る利害関係の問題から。バッドバンク運営中に抱えることになりかねない損失負担に、早くも難色を示しているのだ。
金融業界や政界を通じて4日までに収集した情報によると、大統領職引継委は新型コロナウイルスにより膨れ上がった金融負債の解決策の一つとしてバッドバンクの設立を注文し、金融当局は出資財源の調達など具体的な検討作業に入るものと見られる。
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バッドバンクは金融会社が保有した不良債権を買い入れ、債務者の状況に応じて債務と返済期限を再調整して整理する専門機関だ。
歴代政権で、経済危機の局面ごとに「救援投手」的な役割を担ってきた。通貨危機(IMF)時代には不良債権整理基金、クレジットカード事態の時はハンマウム金融、リーマンショック当時には信用回復基金と国民幸福基金が設立された。
今年5月に発足を控えた新政権のバッドバンク構想を前に、銀行圏は今から出資金調達の心配をしている。
これまでバッドバンクは、銀行など金融機関中心の出資で作られ、その度に多くは数十兆ウォンの財政が投入された。安哲秀(アン·チョルス)引継委員長も、今回のバッドバンク設立を巡り、政府や小規模事業者振興公団とともに、銀行圏の共同出資について言及した。
問題は、銀行ごとに出資規模や参加比率、設立時期などの意見で隔たりが生じるのが避けられないことだ。
ある都市銀行の関係者は「銀行は子会社以外の会社株を買収する際、規定上、出資株を15%以上保有することが難しく、不良債権化の兆候が見られる個人事業者の融資規模も銀行によって千差万別であるため、参加出資比率を調整する問題が最も大きなカギとなっている」と述べた。
続いて「出資規模および方法だけでなく、設立時期と不良債権の評価基準、買入規模などに対しても利害が異なり、バッドバンク設立過程で相当な困難が予想される」と付け加えた。
「流動性改善は期待できない」
一部では、金融会社がむやみに引当金だけを積み立てるよりは、バッドバンクを通じて売却代金を受け取り、帳簿で不良債権をなくす方が健全性の強化に役立つだろうと見ている。しかし、銀行はこれに納得しがたいという立場だ。
別の都市銀行の関係者は「バッドバンクに韓国資産管理公社(KAMCO)より高く不良債権を売却することはできるが、回収率が悪ければバッドバンクに損失が発生するしかなく、これは結局銀行の損失につながるしかない」としながら、「バッドバンク設立は重荷を支えている手を入れ替えることにすぎない。銀行の流動性改善には大きな効果が期待できない」と述べた。
銀行圏の内部では新しいバッドバンクを設立するよりも、既存のユアムコ(UAMCO・連合資産管理)を拡大したり、当局が軟着陸のための総合対策を作ったりすることの方が必要だという意見も出ている。
ユアムコは2009年に国民銀行、新韓銀行、ウリィ銀行、ハナ銀行、IBK企業銀行、農協銀行の6行が金融危機に伴う不良債権を整理するため、1兆5000億ウォンの出資と融資を通じて設立した民間バッドバンクだ。
金融界のある関係者は、「バッドバンクについて財源調達方法など、まだ具体化された内容がなく、今後どのように進行されるか見守らなければならない状況」としながらも、「金融市場の安定と実体経済の回復を早く牽引するためには、不良債権市場を"効率性論理"より"迅速な処理"方向で議論した方が良い」と指摘した。
アン・ソユン記者