韓国の銀行圏、待機資金誘致に熱

韓国の銀行が「金脈硬化(※1)」現象の緩和により、低原価性の要求払預金(普通預金)も流出し始めると、預金商品の多様化、金利の上昇を通じて待機資金の誘致に積極的に乗り出している。

【注※1】「動脈硬化」と「金」を合わせた造語で、血が体の中で正しく循環しない動脈硬化に例えてお金が市場で回らなかったり個人の資金繰りが円滑ではなかったりする状態を意味する。

投資心理の回復で「マネームーブ」か

韓国銀行の経済統計システムと金融界を通じて入手した資料によると、1月末基準の韓国国内銀行の要求払い預金残高は345兆1194億ウォンで、前月(357兆6367億ウォン)と比べて1カ月で12兆5173億ウォン(3.5%)減少した。

要求払預金とは、預金した後にいつでも預金の一部または全部を預金者の請求により支払われることができる預金をいう。要求払い預金は定期預金とは違って利子率が低く流動的だ。

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KB国民、新韓、ハナ、ウリィ、NH農協の5大銀行の先月25日基準要求払い預金残高は705兆7374億ウォンと集計された。前月末より8兆6634億ウォン減少した。

新型コロナウイルス事態以後、通帳に積まれていた要求払預金が減り始めたことについて、金融業界は新政権発足に伴う景気活性化への期待と投資心理の回復による影響と見ている。

実際、銀行の要求払預金の回転率は、昨年10月の13.7回から11月は15.3回、12月は16.5回、今年1月は17.6回へと、引き続き上昇している。

預金回転率は、銀行口座での引き出し回数を根拠に一定の数値がある期間中に平均何回転するかを示す指数で、預金通貨の流通速度を示す。回転率が高いほど預金主が銀行に預けておいた資金をよく引き出して使ったという意味だ。

銀行は純利子マージン(NIM)に貢献した要求払い預金の規模が減少する兆しを見せると、預貯金商品を多様化し、金利を相次いで引き上げるなど流動性確保に奔走している。

IBK企業銀行は今月2日、残高20万ウォン以下の区間に、最高で年5%の破格な金利を提供する入出金式通帳「IBKドトリ通帳」を発売し、同日新韓銀行はKBOリーグ開幕に合わせて「プロ野球積金」を発売した。同商品は1年制の自由積金商品で、応援チームが勝利するかどうかによって年間最高2.8%がもらえる。

ネット銀行も参戦

ネット銀行は5大銀行より慌ただしい。企業融資、住宅ローンなど与信商品の発売を控え、預貸率のバランスを取るための受信確保に力を入れている。

トスバンクは税引き前の年2%の利子を残高最高限度1億ウォンまで支払う随時入出金通帳「トスバンク通帳」を発表したのに続き、先月16日からは毎日1回ずつ顧客が希望する時に直ちに利子を支払い始めた。顧客は「今利子を受け取る」クリックで毎月1回支給されていた利子を毎日通帳で受け取ることができる。

ケイバンクは先月、これといった条件なしに年2.5%の金利を提供する定期預金特別販売を実施した。この商品は5000億ウォン限度で行われたが、販売開始初日だけで700億ウォンほどが殺到し、2週間で完売した。

ある銀行界の関係者は、「市場活性化への期待感が高いだけに、要求払預金の離脱は今後さらに早まるものと見られる」としながら、「銀行が待機資金確保のため、受信商品プロモーションを活発に推進している。特に随時入出金が可能でありながら高い金利を提供するパーキング通帳の販売において外資系銀行とネット銀行が積極的に乗り出す雰囲気だ」と述べた。

アン・ソユン記者