韓国保険業界、国政監査の「事実誤認」に苦慮
国政監査のシーズンを迎えた韓国で、知名度アップをねらう国会議員たちからの攻撃に、保険業界が苦しんでいる。国会政務委員会に所属する与野党の国会議員たちは、保険業界の問題点を指摘する資料の配布に余念がない。ただその多くは、業界に対する認識不足による誤った指摘だ。
「業界への理解度が低い」
評判が業績に大きく影響する特性もあり、保険会社は事実誤認により信用が傷つけられるのを恐れている。
同委員会所属のヤン・ジョンスク議員(無所属)が指摘した、代行運転者保険の保険金支給紛争件数が代表的な例だ。ヤン氏は13日、2018年から2022年8月末まで金融監督院が受理した代行運転者保険の保険金支給紛争件数が21万7352件に上ると指摘した。
しかし、この数字は保険金支給紛争件数ではなく、事故受付件数であることが確認され、ヤン氏は資料の修正を余儀なくされた。
ある保険業界関係者は、「昨年1年間に業界全体で発生した紛争件数が1万5000件の水準だ」とし、「保険が紛争の多い業界であることは事実だが、こうした誤った指摘は消費者の間に不要な不信を呼ぶ」と述べた。
また、同委所属のカン・ミングク議員(国民の力)は「国内保険会社の休眠保険金の残高の現状」を公開し、保険会社が契約者に返還すべき資金5903億ウォンを保有したままになっており、これを運用にして利益を上げていると批判した。
しかし、保険会社は契約者が休眠保険金の返還を受けるルートをつねに公開しているし、これを運用して利益が出た場合には、公示利率に従って契約者に還元する仕組みになっている。むしろ休眠保険金は会計上、負債として分類され、短期財務健全性の面では否定的な要素となる。
業界の内外では、健全な批判なら指摘を受けるに値するが、特定の統計を作為的に解釈し過ぎるという意見が出ている。また業界全体に対して誤った指摘があっても、個別の保険会社が敢えて異論を唱えにくい状況もあり、業界はじれったい思いで成り行きを見守るしかない。
ある保険会社の関係者は「業界に対する理解度の低い資料が配布されたのは、今回だけの話ではない。それでも、議員に対して反論するのは難しいのが事実だ」とし、「議員たちは国政監査で名を上げようとする前に、健全な批判を心掛けてほしい」と述べた。
ユ・ジョンファ記者