韓国のハナ銀行「DLF 訴訟」、内部統制基準の実効性が争点

韓国の金融監督院が、ハナ金融持株の咸泳周(ハム・ヨンジュ)会長が勝訴した派生結合ファンド(DLF)重懲戒取り消し訴訟第二審の結果を不服として上告した。

現状では「内部統制基準策定業務違反」に対する明確な基準がないだけに、金融監督院は今後、同様の事例を規制する基準となる判決が必要だという立場だ。

銀行圏によると、金融監督院はハナ金融持株の咸会長が提起した懲戒処分取り消し訴訟二審判決の上告の可否に関して最高裁判所に上告することを決定した。

二審裁判所は、咸会長に対する「問責警告」の処分は過剰だと判断した。問責警告以上の重懲戒が確定すると、3年間、金融圏の就職が制限される。

しかし、金融監督院は「内部統制基準の策定」の法的争点に関して、不明確な部分に変わりがないため、司法の最終的な立場の確認が必要だと見た。

金融監督院の法務チームの関係者は「今後の制裁時に法的判断基準を確立するために司法の判断を求める」とし、「現在は最高裁が判断する内部統制基準の実効性が明確ではない状況だ」と述べた。

続けて「個人に対する処罰が適法かどうかよりは、今後の制裁時に同じパターンについて参考事例になるような判決が必要だ」と付け加えた。

これに、咸会長と同様の事例であるウリィ金融持株の孫泰升(ソン・テスン)元会長の裁判の成り行きが注目される。

金融監督院は海外金利連携DLF事態に関して、孫会長に2020年1月に「問責警告」の懲戒を下した。これを不服とした孫会長は同年3月、懲戒の執行停止仮処分申請とともに本案訴訟を提起した。

一審裁判所は「金融監督院が内部統制基準自体の「欠陥」ではなく「内容上の不十分」または「運営上の問題」を根拠とした懲戒処分は取り消されなければならない」と孫会長側の主張を採用。二審でも同様の結果が出た。

金融監督院は、内部統制基準の実効性を争点として上告したが、棄却された。

最高裁判所は「ウリィ銀行が内部統制基準を設けて法定事項を全て含め、この内部統制基準の実効性がないと見られない以上、金融監督院が指摘する様々な事情にもかかわらず、孫会長などを内部統制基準自体を用意できなかったという事由で制裁することはできない」とし、「この事件の処分事由を全て認めることはできない」と判示した。

それとともに「現行の法令上、金融会社の内部統制基準「遵守」義務違反について制裁を加える法的根拠がない状況で「準備」義務と「遵守」義務違反は区別されなければならないという点を最初に説示した」とし、「内部統制基準を設けた以上、その基準を一部遵守しなかったとしても、これを処分事由として見られないという原審を支持する」と説明した。

一方、ハナ銀行は「金融監督院の上告審に誠実に臨み、今後もグループレベルで内部統制に不足がないように最善を尽くす」という立場だ。

イ・ヨンギョン記者