立ちすくむ韓国の銀行業界…家計貸付の延滞率が急増
膨らみ続ける家計貸付に、延滞率急増の兆しまで現れ始め、韓国の銀行圏が立ちすくんでいる。金融当局が家計貸付の管理強化を求める中、韓国の銀行は家計貸付の満期延長や借り換えに誘導することも難しく、適切な対応策もない。
不良債権化「深刻な予兆」
8日までに明らかになった情報を総合すると、KB国民、NH農協、新韓、ウリィ、ハナなど5大都市銀行の今年8月末時点での家計貸付残高は698兆8149億ウォンで、昨年12月末(670兆1539億ウォン)に比べ4.28%増えた。今年初め、金融当局が銀行に提示した年内の家計貸付増加率制限値(5~6%)に達した。
金利上昇が直撃
また、金融当局の家計貸付抑制の注文や基準金利の引き上げの影響を受け、融資利息率が3カ月ぶりに0.5%近く高騰し、家計貸付の不良債権化の時限爆弾の秒針はさらに動きを速めた。
関連記事:「信用貸付の上限は年収以下に」韓国当局の”奇襲”に銀行も顧客もパニック
5大都市銀行の金利区間別融資取扱比重の平均を見ると、今年7月に取り扱われた住宅担保ローン(分割返済方式)のうち金利3%未満の債権が占める比率は平均68.8%で、前年同月(97.88%)に比べて29.08%減少した。
同期間、一般信用融資と限度融資(マイナス通帳)の4%未満の取り扱い高の比率(平均)はそれぞれ10.36%(91.62%→81.26%)、12.38%(94.58%→82.2%)減った。
融資金利の上昇による債務返済負担の増大は、そのまま延滞率の上昇につながる可能性が高い。
韓国銀行(中央銀行)の「金融機関融資形態のサーベイ」の結果によると、韓国内の銀行が予想した今年第3四半期の家計貸付の借り手に対する信用危険指数は18で、今年第2四半期(6)より12ポイントも上昇した。
韓国経済研究院は基準金利の引き上げで、融資金利が短期間で1%上昇する場合、今年第1四半期には0.2%水準だった家計貸付延滞率が0.32-0.62%に拡大するという意見を明らかにした。
元金返済猶予措置も今年末終了
また、新型コロナウイルス事態以後、所得減少で家計貸付の返済が困難で延滞または延滞の恐れがある個人債務者に対する家計貸付(住宅担保ローン除外)の元金返済猶予措置も今年末に終了を控えている。
金融業界では、新たに就任する高承範(コ・スンボム)金融委員長が、最優先課題として強力な家計債務対応を強調しただけに、中小企業・小商工人融資とは異なり、家計貸付に対する新型コロナウイルス金融支援プログラムは追加延長されないという見方が支配的だ。
家計貸付の不健全化を警告する深刻な予兆にも関わらず、各銀行はどうすることもできず、気をもんでいる様子だ。
当局の注文に合わせ、家計貸付の総量を管理するためには、従来の融資に対する満期延長に保守的な態度を取らざるを得ず、新規に取り扱われる借り換えを奨励することも難しい状況であるからだ。
関連記事:[寄稿]韓国政府、借り換えプログラム拡大の政策化が急務
ある都市銀行の関係者は「融資満期が到来した個人の顧客の大半に対し、満期延長の条件として限度減額と金利の上方修正を案内している。今月から新規融資の限度が大幅に縮小され、貸換融資への転換を誘導することも難しい状況だ」と述べた。
また「借主の償還条件が悪くなればそれだけ延滞の可能性が高くなるが、貸し出し増加率を管理するには仕方がない」とし、「延滞率自体を低める方法よりは十分な引当金を積む方法で急激な健全性悪化が起きないように備えることに集中している」と付け加えた。
アン・ソユン記者