韓国の銀行圏、支払保証が急増「変異ウイルス拡散が不安要因」

新型コロナウイルス変異ウイルスの拡散や物流リスクの増加などにより貿易環境をめぐる不安要因が高まっており、韓国の銀行圏の支払保証規模も拡大し続けている。

支払保証とは、金を借りた借主が貿易取引に支障をきたしたり、企業が不渡りを出して借金を返済できなくなったりした場合、該当銀行がこれを代わりに返済すると保証することを意味する。信用状取引や各種貿易取引、社債発行などを通じて資金を調達する企業が対象だ。企業は保証書を発行してもらう代わりに、月別または四半期別に手数料を銀行に支払う仕組みだ。

輸出拡大で前年比7.9%増

金融監督院の電子公示システムによると、今年上半期、KB国民、新韓、ハナ、ウリィ銀行の支払保証金額は計50兆6117億ウォンで、昨年上半期比7.9%増加した。

銀行別では新韓銀行が13兆8875億ウォンから15兆5140億ウォンへ11.7%増加し、最大幅で上昇した。続いて国民銀行8.6%、ウリィ銀行6.5%、ハナ銀行4.6%と続いた。

新型コロナウイルスのワクチン接種の拡大で、経済活性化への期待が高まり、行き詰まっていた貿易の道が開かれ、輸出額が好調に推移している結果と見られる。今年、韓国の月別輸出額は、昨年11月から持続的に増加しており、6カ月連続で500億ドルを突破した。

「悪夢」再現も

ただ、変異ウイルスの拡散、輸出入物流の問題、原材料価格の上昇の3重苦は今年下半期の産業界の不安要因として挙げられる。新型コロナウイルスの第4波流行が本格化した今年7月から、デルタ株やラムダ株、ミュー株など変異ウイルスの拡散で感染者数はなかなか減らない。

加えて海運・航空運賃の上昇による物流問題と原材料価格の高止まりにより、市場はさらに萎縮する兆候も見せる。

関連業界は新型コロナウイルスの直撃弾を受けた昨年初め、輸出入量が急減した悪夢が再現される可能性もあると予想している。

景気先行指数、14カ月ぶり下落

また、景気の不確実性が増している中、借主の債務返済余力が悪化し、不良債権化による信用損失への懸念も出ている。支払保証の対象である企業の資金力が萎縮すればするほど、返済を約束した銀行の負担も増すしかないのでリスク管理が必要だという分析だ。

今後の景気動向を示す景気先行指数の循環変動値は102.6で、前月比0.2ポイント下落し、14カ月ぶりに上昇の流れが鈍った。

これについてある銀行関係者は、「支払い保証の規模は増えたものの、平均範囲を外れたわけではない」とし、「引当金積み立てなどで財務健全性の管理に集中している」と述べた。

イ・ジウン記者