韓国の地方銀行、貸倒引当金を大幅積み増し…限界企業が続出
韓国の各地方銀行は、新型コロナウイルスの長期化で景気悪化が続いていることを受け、「限界企業」の不良債権による出血に備え、健全性管理に突入した。
コロナ金融支援終了で危機拡大
限界企業とは、財務構造に問題を抱え、危機が迫っている企業をいう。
金融監督院によると、今年上半期の5大地方銀行(釜山・慶南・大邱・光州・全北)の貸倒引当金の積立率は135.49%で、昨年上半期(98.22%)から37.22%増加した。
銀行別に見ると、釜山(プサン)銀行の今年上半期の貸倒引当金の積立率は185.09%で、昨年上半期(118.63%)から55.4%上昇した。同期間、慶南(キョンナム)銀行は42.16%、大邱(テグ)銀行は23.1%、光州(クァンジュ)銀行は24.25%、全北(チョンブク)銀行は30.3%増えた。
貸倒引当金の積立率は、金融機関の融資額のうち延滞期間が3カ月以上の不良債権に備えた引当金の積み立て状況を示す健全性の指標である。
昨年、一部の地方銀行の貸倒引当金の積立率は金融監督院の勧告値である100%を下回っていた。しかし、今年に入り一斉に基準値を上回った。
予想より長引く新型コロナウイルスの影響で、地域経済が低迷し、経済的困難を訴える中小企業が増えたことを受け、限界企業の危機状況への対応に乗り出したものと見られる。地方銀行は企業融資の割合が60~70%に達するだけに、景気悪化から直接的な影響を受ける。
関連記事:韓国の相互金融、対法人の信用貸付に進出…貯蓄銀行と競争激化へ
特に地方銀行の中でも、釜山銀行と慶南銀行の貸倒引当金の規模が大幅に増加した。これは不良債権(NPL)の売却と企業融資の拡大の影響と分析される。
通常、釜山銀行は毎年2度にわたって不良債権を売却する。釜山銀行によると、今年第2四半期にも不良債権の対外売却を通じて不良資産を整理した。その結果、1677億ウォンの処分利益が発生し、これは貸倒引当金に繰り入れられたという。
慶南銀行の場合は、昨年、増加した企業融資が影響を及ぼしている。慶南銀行の昨年の企業融資は22兆741億ウォンで、前年(20兆6365億ウォン)より10.2%増えた。このうち、製造業関連融資が30%近くを占め、該当企業群を中心に経営難の問題が発生したものと見られる。
両行の場合、コロナに先行して浮上していた地域の核心産業である造船・海運業の構造調整の影響に、景気鈍化という悪材料まで重なった。ここ数年間、他の地方銀行と比べ、不良債権の割合を意味する無収益与信比率が0.1~2%高かった。
そして、新型コロナウイルスの金融支援措置が終われば、これまで統計に含まれていなかった不良債権が表面化し、与信健全性が悪化する可能性も予想されている。
国内企業のうち、営業利益で融資利息すらまかなえない限界企業が、10社中4社に上ることが分かり、銀行による「不良爆弾」に赤信号がついた。
ある地方銀行の関係者は「ワクチン接種率が拡大したことに伴い地域経済も回復期待感を見せているが、変異ウイルスが拡散するなど不確実性は解消されていない」とし、「パンデミックの長期化で増える限界企業の不良債権に備えて貸倒引当金を積み立ててリスク管理に力を入れている」と述べた。
イ・ジウン記者