韓国銀行圏、預貸率の基準クリア…投資熱が冷め預貯金増
韓国で新型コロナウイルス事態以降、流動性管理に困っていた銀行が今年3月の預貸率規制緩和措置の終了を控え、預貸率の規制水準をクリアする見通しとなっている。基準金利の引き上げや政府の家計融資総量規制を受け、自然に預金が増えているからだ。
受信残高、20兆ウォン水準で増加
韓国銀行(中央銀行)によると、先月末の銀行受信残高は2136兆1000億ウォンで、前月(2113兆3000億ウォン)比で22兆8000億ウォン増加した。受信残高の増加規模は、昨年9月に18兆2000億ウォン、10月に19兆5000億ウォン、11月には18兆2000億ウォンと増え続けている。
韓国銀行の相次ぐ基準金利の引き上げと株式市場の不況が重なり、銀行預貯金に資金が集中しているものとみられる。
新型コロナウイルス以降に盛り上がっていた株式や不動産市場への投資熱は、最近になって下火になった。昨年1月、26兆ウォンに達したKOSPIの1日平均出来高は、昨年12月には10兆ウォンと、半分以下となった。金利引き上げ、住宅価格の頭打ちなどで、住宅購入に向かっていた消費者心理も萎縮している。
さらに、強化された家計向け融資総量規制により、融資規模を大幅に増やすことができなくなり、銀行も受信残高を拡大する必要性が自然に減った。また、金融当局は昨年5~6%だった家計向け融資増加率の目標を今年は4~5%に下方修正した。
増える預金に銀行はホッとしている雰囲気だ。これまで銀行の預貸率は、新型コロナウイルス事態によって家計向け融資が急増したことで、金融当局の勧告値(100%)に迫っていた。金融当局が流動性管理のため、期限付きで預貸率を105%まで認めたものの、安定しない預金残高に気をもんでいた。
韓国の4大都市銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリィ)の平均預貸率は、新型コロナウイルス事態直前の2019年末の94.5%から、2020年末には99.8%に増加し、昨年第3四半期には98.97%に減少している。一時、100%を超えていたKB国民銀行やハナ銀行も、規制範囲内にとどまっている。
現在の数値の通りなら、今年3月に預貸率規制緩和措置が終わっても、既存の基準値の100%内に入ることになる。
ある銀行の関係者は「増え続ける家計向け融資と新型コロナウイルス支援で預貸率管理に困難を経験したが、ほとんどの銀行が当局勧告値の100%以下に合わせようと努力した。今年は家計向け融資総量規制と金利引き上げなどで預貸率を合わせるのがもう少し易しくなるだろう」としながらも、「しかし、融資を減らそうとする状況で預金があまりにも多く入ってきても銀行にとっては負担になる。そのため、持続的な預貸率管理が必要だ」と述べた。
イ・ジウン記者