韓国銀行圏、非対面金融の活性化対策で同業他社と提携
韓国の銀行が店舗閉鎖による高齢者などの金融疎外問題を解消するため、「呉越同舟」を選んだ。
銀行圏が17日までに公開した資料によると、ウリィ銀行とハナ銀行は来月中に京畿道龍仁市水枝区新鳳洞(キョンギド・ヨンインシ・スジグ・シンボンドン)に共同店舗を出すことになった。
旧ウリィ銀行の新鳳店舗の2階(共同店舗1号)を両銀行が一緒に使う方式だ。賃借料など運営費用は、両社が協議して負担する予定だ。両銀行は共同店舗を皮切りに、他の地域にも共同店舗を設置する案を構想している。
郵便局で銀行業務
そして、早ければ年末からは郵便局窓口での銀行業務が可能になる見通しだ。KB国民、新韓、ウリィ、ハナの4大都市銀行は、郵便局の全店舗と窓口提携する案を検討している。
銀行と郵政事業本部が委託業務の範囲などについて最終的に合意すれば、年内に郵便局で銀行の業務を開始できるよう、システム連携などの作業に突入する。
韓国の都市銀行がライバル銀行と「共同店舗」の設置を決めたのは、モバイルやオンラインなどの非対面金融チャンネルの活性化を受け、店舗閉鎖のスピードが速くなっている現状の中、高齢者などの金融疎外階層の利用するのに利便性を害さない代案作りが急務だったためだ。
この6年間、韓国内の銀行は計1507店舗を閉鎖した。このうち、4大都市銀行が全体の60%以上を占めた。
急速な店舗閉鎖は地域住民の反対デモ、政界の争点にまで広がった。その結果、ライバルと窓口を共有する負担を甘受してでも、社会的な批判に向き合う戦略を立てた。
運営方式に相違
一方、共同事業として運営する過程で生じかねない副作用は、銀行圏が解決していかなければならない課題だ。例えば、共同店舗の位置選定問題から顧客情報流出や窓口を共有する金融会社間の過度な営業競争、金融事故が発生した際の責任の有無という点が取り上げられている。
現在、都市銀行と郵政事業本部は店舗や窓口提携の必要性に共感しながらも、細部の実行方式を巡り、意見を狭めることができずにいる。
郵政事業本部は、全国の郵便局単位でテスト運営することを望んでいる。しかし、都市銀行は店舗の少ない地方を中心にテスト運営する案を主張している。また、業務提携による手数料算定方式や事故が発生した際の責任所在などにおいても、立場が異なるという。
このような現実的な問題から共同店舗の前の段階と考えられる4大銀行が、2020年8月から試験的に運営している共同金融自動化機器(ATM)も、一部地域に4カ所設置されて以降、これ以上は拡大していないのが実情だ。
ある銀行界の関係者は「日本とイギリスなど多くの国では、すでに共同店舗を運営しており、これを通じて地域社会の基盤を拡大すると同時に賃借費用の節減という効果を出している」としながら「共同運営方式が定着するまで多くの調整過程が必要だろうが、店舗閉鎖で不便を経験する金融疎外階層のためにも導入および拡散に積極的に乗り出している」と述べた。
アン・ソユン記者