韓国の金融持株「スーパーアプリ」作りに熱…未来の成長動力に

韓国の金融持株が「スーパーアプリ」作りに力を入れている。スーパーアプリは、銀行からカード、証券、保険など領域を問わず、すべての金融サービスを一度に提供する統合プラットフォームで、ビックテック企業との競争で勝機をつかむための未来成長エンジンに挙げられている。

サムスンが「主導権」

サムスン生命、サムスン火災、サムスンカード、サムスン証券、サムスン資産運用などサムスングループ傘下の金融会社5社は、共同ブランド「サムスン・フィナンシャルネットワーク」を立ち上げ、これらが一丸となって作ったスーパーアプリ「モニモ」を発表した。

モニモはサムスン金融系列会社のサービスをひとつのアプリで利用できるプラットフォームで、サムスン火災(174億ウォン)、サムスン生命(143億ウォン)、サムスン証券(73億ウォン)が合計400億ウォンを投資した。構築と運営はサムスンカードが主導する。

金融業界では初のスーパーアプリの登場に、各金融持株の動きがさらに慌ただしくなった。モニモに銀行機能はないが、業界初の象徴性がある。金融アプリ市場で主導権を奪われないよう、金融持株が速度戦に乗り出した格好だ。

KB金融はモバイルバンキングアプリの「KBスターバンキング」を中心に、系列会社の金融・非金融サービスの力量を加え、開放型総合金融プラットフォーム化を推進している。不動産・モビリティ・ヘルスケア・ショッピングなど非金融サービスと金融サービスを連携したコンテンツで競争力を確保していく方針だ。さらに、KB国民銀行は昨年、インテリアプラットフォーム「今日の家」とモビリティプラットフォーム「ティマップモビリティ」と業務協約を結んだ。

新韓金融はモバイルバンキングアプリ「ソール(SOL)」を全面改編するニューアプリ(New App)プロジェクトを進めている。200億ウォンの予算が投じられる今回の事業には、超個人化マーケティングを加えた非対面商品加入プロセスを再構築し、顧客適合型ユーザーインターフェース(UX/UI)などが再設計される。

ハナ金融もモバイルバンキングアプリ「ハナウォンキュー」を育成するため、模擬投資ゲームサービス、デジタルファンドプラットフォームなど多様な形態のサービスを搭載することに力を入れている。ウリィ金融はグループレベルでMZ世代に特化したデジタルプラットフォーム構築計画を明らかにした。

金融当局も支援

金融持株のスーパーアプリ戦略は、金融当局の支援でさらに弾みがつく見通しだ。

金融当局は現在、金融グループがスーパーアプリの実現で問題となる規制を緩和する案を検討している。昨年末、高承範(コ・スンボム)金融委員長は各行頭取と懇談会の席で、「ひとつのスーパーアプリを通じて銀行・証券・保険などサービスを提供する『デジタルユニバーサルバンク』が可能になるよう制度的環境を整える」と述べたことがある。

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金融業界では、金融持株のスーパーアプリの高度化のためには、銀行の兼営や付随業務の拡大や系列会社商品の販売比重の制限、消費者保護関連の責任分担、個人情報保護など、従来の規律体系の変化や補完が必要だと指摘している。

韓国金融研究院のイ・デギ先任研究委員は、「現在、国内では顧客が同一金融グループ内の系列会社のサービスを利用するためには、他のアプリに誘導するようシステムが構築されている」としながら、「これは検索、ショッピング、決済を一つのアプリとして提供するネイバーなど、ビックテックサービスと比べてとても不便だ」と述べた。

さらに、「国内銀行がデジタルプラットフォームの最高段階である総合金融プラットフォームサービスを提供するためには、制度的環境が整わなければならない」としながら、「商品製造、販売、仲介の責任あるビジネス運営が可能な金融会社に対しては、ひとつのアプリの中で金融グループ内系列会社の商品加入、解約、売買などを可能にしなければならない」と付け加えた。

アン・ソユン記者