韓国「中金利」拡大政策で家計の金融リスクも増大
韓国金融当局の中金利(高金利と低金利の中間)融資拡大政策によって、中信用者(信用格付が中程度)の10人中9人までが金融債務を負っていることがわかった。金利引き上げが本格化すれば、彼らの信用不良リスクが拡大する恐れがある。
中信用者の9割に金融債務
信用情報機関のナイス評価情報によると、昨年末時点で信用点数評価データがある4769万2811人のうち、41.14%に相当する1962万3507人が金融債務を負っていると集計された。
信用評点区間別に調べると、信用度が多少懸念されるが、既存の取引を維持できる借主に分類される信用格付け中程度の者(信用点数400~699点)の債務保有比率が著しく高かった。
具体的には△600~699点では72万9594人中87.85%(64万997人)△500~599点では11万631人中93.69%(10万3659人)△400~499点では4万6037人のうち96.89%(4万4607人)となっている。 中信用者の9割以上が、金融債務を負っているということだ。
一方、金融事故のリスクが少ない高信用者(信用点数700点以上)は39.84%が融資を受けていて、信用度が懸念される水準で不良債権化が進行中だったり、すでに信用取引に問題が生じたりしている低信用者(信用点数399点以下)の債務保有比率は49.15%と集計された。
中信用者の債務保有比率が高いのは、金融当局が家計向け融資の総量管理において、中信用者向け融資商品の取り扱いを拡大するよう、金融機関にインセンティブを与えて誘導した影響が大きい。
ネット銀行に集中
特にインターネット銀行に対しては、中信用者向け貸出金利政策の活性化という使命を与え、今年末までに中信用者向け融資の比重を30~40%台まで引き上げるよう圧迫を加えたりもした。
ある金融機関の関係者は「高信用者向け融資の場合、政府の規制と金利上昇で需要が減少したのに対し、インターネット銀行に集中している中金利融資の需要は着実に増えている」と述べた。
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問題は金利が日を追って上昇している状況で、中・低信用者に対する融資の不良債権化リスクも急速に膨らんでいることだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)が基準金利の「ビッグステップ(0.5%引き上げ)」を踏んだことで、韓国とアメリカの基準金利の格差は従来の1~1.25%ポイントから0.5~0.75%ポイントに縮まった。
予想より早いアメリカの緊縮を受けて、韓・米金利逆転の可能性を懸念する韓国銀行(中央銀行)は現在1.5%の基準金利を年内に2.25%まで引き上げると見込まれている。韓国銀行は今年1月と4月の2回、基準金利を0.25%ポイントずつ引き上げた。
基準金利の引き上げは変動金利融資を受けている借主の利子負担の上昇に直結する。金融圏の家計向け融資残高のうち、変動金利融資の比重は80%前後と高い水準にある。
すでに、過去1年間で4769万2811人の債務者のうち、0.83%が3ヶ月以上、返済が延滞しているか、長期延滞の可能性が高い借主として管理されている。
金融圏のある関係者は、「当局が家計向け融資の総量規制で世帯債務の規模を統制しながら、高信用者向け融資の敷居を高め、中信用者優遇政策を展開したことで、中金利融資の市場規模が大幅に伸びた」とし、「包容的金融政策の趣旨には共感するが、今後も物価上昇及び金利上昇が続く場合、財務状態が脆弱になる家計が増える可能性がある」と述べた。
続けて、「韓国銀行はまだ、基準金利引き上げでベビーステップ(0.25%ポイント引き上げ)を踏んでいるが、金利正常化への確固たる意思を表明しているため、金融機関は融資金利を段階的に上げる兆しを見せている。借金のある中・低信用者の利子負担の拡大は避けられないだろう」と付け加えた。
アン・ソユン記者