韓国保険業界、来年から新支給余力制度
韓国で8年にわたり推進されてきた保険会社の新支給余力制度(K-ICS=キックス)が、来年ようやく施行される。
IFRS17に合わせ、8年準備
金融監督院によると、来年の新しい国際会計基準(IFRS17)の施行とともに、キックスも保険会社に適用される予定だ。金融監督院は国際資本規制に合致するよう、2015年からキックスを準備してきた。
キックスでは、保険負債と資産が全て時価で評価されるのが特徴だ。市場環境の変化や政策とは関係なく、支給余力比率の変動性を管理できるように新たな基準を設ける。
これを受け、保険会社の健全性指標である支給余力比率(現行のRBC比率)もキックスに変更される。支給余力比率は保険会社の保険金支給能力を評価する数値だ。RBCでは保険会社の資産だけを時価評価し、負債は契約当時の簿価で評価する点で限界があった。
金融監督院は、キックス比率(新支給余力比率)算出のため、新たな健全性監督基準の財務諸表を設ける計画だ。これは保険会社の実質リスクを反映し、監督目的に合致させるためのもので、一般会計や監督会計と区分される。
健全性監督基準の財務諸表において、純資産は損失吸収能力によって基本資本と補完資本に分類される。金融監督院は損失補填に一部制限がある補完資本を現在の余力基準金額の50%だけ認めることに決めた。
国際基準に合致するよう支給余力基準金額(要求資本)算出基準も改正される。長寿・解約・事業費・大災害・資産集中危険などが新規測定リスクとして追加された。
現行の支給余力比率と同様に、キックス比率も100%以上の場合、保険金支給に問題がないと判断される。
金融監督院は10月に施行された保険会社現場点検の結果、財務諸表の作成およびキックス比率算出のためのシステムに対して大部分の保険会社で準備が整ったと判断している。
ただ、算出結果の正確性を担保するための内部統制プロセスは、まだ準備中である保険会社が多いことも分かった。
金融監督院関係者は「新制度導入前までに保険会社が内部統制体系構築を完了できるよう督励し、ネック事項を聴取する予定」とし、「ホットラインを構築して保険会社が試行錯誤を最小化できるよう保険会社と持続的に意思疎通する」と話した。
パク・ジンヒョク記者