韓国の銀行に中小企業「不良債権化」の懸念…限界企業が増加

韓国の銀行が法人向け融資を増やしている。中小企業の暗い景気見通しが、そのまま不健全化につながるのではないかとの懸念が強まっている。

家計債務の抑制策が影響

韓国の銀行が今年の第3四半期末までに行った法人向け融資は1049兆ウォンだった。8月末から1カ月で7兆7000億ウォン増加した数値で、2009年6月に関連統計を取り始めて以来、最大の増加幅だ。個人事業者向け融資(3兆5000億ウォン)を含む中小企業向け融資は、1カ月間で7兆4000億ウォンが増えた。

融資全体に占める中小企業向け融資の割合が増えた理由としては、政府による家計向け融資への締め付けや新型コロナウイルスの影響が挙げられる。

さらに、政府が雪だるま式に膨らんだ家計債務が銀行のリスク要因とならないよう、家計向け融資の増加率を6%に抑える強力な規制を実施したことで、銀行の法人向け融資への依存度はいっそう高まった。

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問題は、今年第4四半期の中小企業の業績が悪化し、製造業の成長傾向が鈍化するとの見通しが強まり、法人向け融資の不良債権化の懸念が提起されていることだ。

景気見通しは「不安定」

統計庁が発表した9月の産業活動動向によると、サービス業の生産、小売販売など内需関連指標は反発の流れを見せているが、景気見通しは依然として不安定な状態だ。

製造業の在庫および出荷比率を示す在庫率は113.2%で前月比1.1%増となり、経済心理指数は下落した。今後の景気を予測する先行指数である循環変動値は、在庫循環指標や経済心理指数などが悪化し、前月比0.3ポイント下がった。今年7月末に14カ月ぶりに下降転換して以来、3カ月連続で落ち込んでいる。

中小企業の11月の業況景気展望指数(SBHI)も81.5で、10月と比べ1.9ポイント下落した。景気展望指数が100以上なら、景気展望を肯定的に見る企業が、そうでない企業よりも多いことを意味し、100より低ければその反対を意味する。

そして、韓国銀行(中央銀行)は11月、基準金利を再度引き上げるものと見られ、借主の返済負担も日増しに重くなる見通しだ。

李柱烈(イ·ジュヨル)韓国銀行総裁は先月の国政監査で「11月に基準金利を引き上げても大きな問題はない」と言及したことがある。

悪材料が重なり

ただ、新型コロナウイルスの第4波が長期化し、融資の満期延長・元利金返済猶予の金融支援措置が満了する来年3月に融資返済ができない企業が多く現れれば、金融業界も打撃を受けざるを得ない。

実際、営業利益で銀行の利子を払えない限界企業は10社のうち4社に達する。昨年、利子補償比率(営業利益を利子費用で割った数値)が100%未満の限界企業の割合は41%で、前年(36.6%)より4.3%上昇した。

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金融界のある関係者は「銀行は企業に融資した際、内部基準によって信用評価や書類審査などを経て、借主の信用リスクを考慮して融資を実行したはずだ」としながら、「ただし、基準金利の引き上げと製造業の景気見通し悪化が重なり、限界企業は増える可能性は高い。企業融資の依存度が高くなるだけに金融支援の推移を綿密に調べるなど、持続的なモニタリングが必要だ」と述べた。

イ・ジウン記者