韓国のネット銀行、預貸率管理に懸念
2022年3月9日
韓国でネット銀行の規模拡大が続いているが、預貸率管理に課題があるとの指摘が出ている。預金が融資より大幅に増加し、不均衡が深刻な影響を及ぼしているからだ。
ケイバンク、ようやく50%
金融界が8日までに公開した資料によると、ケイバンクの受信残高は2020年末の3兆7453億ウォンから昨年末には11兆3200億ウォンに、与信残高は2兆9887億ウォンから7兆900億ウォンに増加した。受信額と与信額の差も7566億ウォンから4兆2300億ウォンにまで広がった。
カカオバンクも似たような流れを見せている。同期間、カカオバンクの受信残高は23兆5392億ウォンから30兆261億ウォン、与信残高は20兆3000億ウォンから25兆8614億ウォンに増えた。受信額と与信額の差は4兆ウォンを超える。
ネット銀行は昨年、韓国政府が家計向け融資の増加率を5~6%台に規制したことにより、融資を積極的に増やせなかった。さらに、株式や仮想通貨など資産市場の投資心理が萎縮し、資金が銀行の預貯金に移動する現象が広がったと分析されている。
ケイバンクは仮想通貨取引所「アップビット」との提携が、与受信格差に大きく作用した。2020年に仮想通貨市場が活況を迎え、アップビットの利用者数が大幅に増えた。その結果、ケイバンクの顧客数も2020年の219万人から昨年は717万人に増加した。
しかし昨年、金融当局から、仮想通貨に紐づいた預金が多いとして、現金化しやすい高流動性資産の管理を徹底するよう指摘された。今月4日にも、流動性リスク管理が不十分だとして改善を要求された。
韓国の各ネット銀行は急激に増えた受信残高の影響で、預貸率も業界平均より低い数値を見せている。
都市銀行は90%台
都市銀行が預貸率勧告基準の100%と近接した90%台後半を維持している反面、ケイバンクとカカオバンクの預貸率はそれぞれ50%、85%水準に止まっている。預貸率が低ければ融資から回収する利子収益より預金利子の負担が増え、結果的に銀行の収益性に否定的な影響を及ぼす。
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これを受け、各ネット銀行は融資のポートフォリオの拡大を通じ、与信と受信のバランスを取り、預貸率の管理に乗り出す計画だ。ケイバンクは今年第1四半期中に個人事業者向け融資を発売し、商品ラインナップを強化する予定だ。カカオバンクも先月発売した住宅担保ローンに続き、年内には個人事業者の融資を発売予定だ。
ケイバンクの関係者は「預貸率管理とともに全体的なボリューム自体を上げることに集中している」としながら、「受信金利は引き上げ、融資金利は引き下げるなど競争力ある商品を発掘し、営業拡大および管理している」と述べた。
また、カカオバンクの関係者は「信用融資だけで融資を増やすには限界があった。受信も増えており、融資も最近発売した住宅担保ローンに続き、下半期に個人事業者向けの融資を行うなど、与信と受信をくまなく成長できるよう準備している」と説明した。
イ・ジウン記者