韓国金融当局、株価下落で「安定ファンド」を検討
韓国総合株価指数(KOSPI)は先月28日、2%以上急落して2年2カ月ぶりに2200ポイントを割り込んだ。この動きに金融市場がパニック状態に陥ったことを受け、証券市場安定ファンド(証安ファンド)の再稼働が議論されている。ただ、業界は実効性に疑問を投げかける状況だ。
「典型的なポピュリズム」業界は懐疑的
韓国政府の金融委員会は同日、「金融市場合同点検会議」を開催し、証安ファンドを適時に実行できるよう準備することを呼びかけた。
証安ファンドは短期資金を投入し、株式市場の安定と需給改善などを達成することが目的の基金で、政府は1990年と2003年、2008年、2020年に証案ファンドを造成した。
直近の2020年3月末には、新型コロナウイルス感染拡大の初期に金融圏で10兆ウォン、韓国取引所など関連機関が7600億ウォンを拠出して基金を造成したが、その後に株価が急回復。資金を投入する必要がなかったため、稼動しないままに終わった。
金融委員会の関係者は「証安ファンドなどについては、市場措置と関連した内容なので、規模や施行時期など具体的な計画を事前に公表するのは難しい」と述べた。
一方で金融投資業界は、こうした動きは有権者の歓心を買おうとする典型的なポピュリズムだとし、景気回復に重要な影響をもたらし得る根本的な対策にはならないという立場だ。
証券ファンドは株式市場の変動性を一時的に緩和する役割をするだけで、反騰を助けることはない、との意見が主流だ。現在の株式市場は、全般的に下押し圧力が強いためだ。
経済低迷こそ問題
金融投資業界のある関係者は「証券市場安定ファンドは株式市場の反騰ではなく、文字通り安定が目的であるため、その役割は果たすだろう」と言いながらも、「ただし、株価下落は我が国だけの問題ではないので、一時的に株価が回復しても傾向的下落を防ぐことは難しい」と見込んだ。
株式市場が経済全体に占める部分は微々たるものであるため、低迷する経済からまず救うべきだという意見もある。
別の業界関係者は「今の我が国の経済状況は、全般的に投資心理が萎縮していることが最も大きな原因だ」とし、「世界的な景気後退、ドル高、金利の急騰など、株価の下落を引き起こす可能性のある要因が一度に発生した」と指摘した。
続けて「しかし、株式が全体経済に占める割合は実際には大きくないため、証安ファンドや空売り全面禁止などでは、低迷した経済を復活させるのにあまり役に立たないだろう」とし、「景気回復に優先的に努めなければならない」と述べた。
パク・ヒュソン記者