韓国の銀行圏、ELT販売総量規制に複雑な心境

韓国で、株式市場回復に支えられ、銀行圏の株価連動信託(ELT)の販売が急速に増えている。非利子利益の拡大が急務の銀行は、販売総量規制に複雑な心境だ。

5大銀行、販売上限に迫る

金融投資協会の総合統計サービスによると、今年2月末基準の銀行圏ELT受託総額は31兆728億ウォンと集計された。2021年2月末の23兆2886億ウォン、昨年2月末の27兆4125億ウォンから上昇傾向が続く。

ELTの販売価格が増えたのは、金利引き上げが最終盤に近づいた上、株式市場が底を打ち、当分の間は指数暴落がないという見通しが出たことから、株価連動証券(ELS)の投資需要が増えたおかげだ。

ELSは満期日までに基礎資産価額が定められた水準を下回らなければ、元金と利子が得られる派生商品で、銀行はこれを信託運用に編入してELTとして販売する。

最近、預金金利が年4%台から2〜3%台に下落したのも、ELT販売拡大の背景になっていると見られる。

現在販売中のELTの手数料差し引き後の期待収益率は、平均年5〜6%の水準だ。早期償還条件が厳しい商品は年9%台もある。

去る2020年、派生結合証券(DLF)の元本損失が発生した後、信託部門の収益性の悪化に悩まされていた銀行にとって、ELT市場の活況は嬉しいことだ。ただ、堅実な実績を維持するためには、商品ポートフォリオの多角化が必要だと分析される。

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金融当局は、DLF事態の再発防止のため、銀行圏の高難度金融投資商品に相当するELTの取扱総量を規制している。銀行別に2019年11月末基準のELT受託総額が販売の上限となっている。

当時のELT販売量が多かったKB国民銀行が13兆ウォンの最も高い限度を与えられ、ハナ銀行6兆ウォン、新韓銀行5兆ウォン、ウリィ銀行4兆ウォン、農協銀行3兆ウォンの順だ。

5大銀行の合計は32兆ウォンほどであることと、金融投資協会に公示された現在の銀行圏の受託総額(31兆728億ウォン)を踏まえると、規制上限に迫っていると推定される。株式市場の好況に乗って、ELT販売手数料の収益をもっと増やしたくても増やせない状況だ。

銀行圏のある関係者は「信託手数料でELTが占める割合は銀行ごとに差があるが、約3〜40%程度だ。非利子利益を引き上げられるELTの上限規制は残念だ」と指摘した。

続けて「ELTを求める顧客がいっそう増え、販売高が総量制限を超えると、規制緩和を要請しなければならないが、最近の銀行圏は『もうけ過ぎ批判』を恐れて様子をみるばかりの状況だ」と話した。

アン・ソユン記者